原料産地の認証

 本年は、異常なほどのいも焼酎ブームであった。単式蒸溜器を使い一回だけ蒸溜するという意味ではいもも米も麦も一緒であるが、いもと他の原料の大きな違いは、いもは傷みやすいので収穫後直ちに焼酎に仕込まなければならないということ、それに付随して焼酎蔵も鹿児島・宮崎南部とさつまいもの産地にほぼ限定されているということである。米や麦など穀類の場合には、原料産地と蔵の立地にはほとんど関連性がないのは、ビールや清酒の工場を考えれば自明のことである。
 しかし、これが一方では今回のような急激な人気上昇期には対応を困らせることにもなっている。いくら人気があっても商品供給、ひいては原料の手当が追いつかないのだ。特に焼酎造りには黄金千貫という品種が適しており、おいそれとは増産ができない状態にある。急激な人気上昇を受けて一部では、中国産さつまいもを使うメーカーもあるように聞く。輸入品を原料に使うこと自体はなんら問題はないと思うが、そのことが正しく情報開示されていないことには少し問題があるように感じていた。
 このような状況を受けて、薩摩半島の知覧・指宿地区のメーカー16社が「南薩摩・本格いも焼酎」の認証制度を開始した。この認証を受けた焼酎は、鹿児島県産のさつまいもを使い一切の添加物を含まないものとされている。
 元来は地産地消の代表的商品であったいも焼酎がいよいよ日本中、世界へと販路を広げる時期に来ているので、この制度を発足させるにはちょうどよいタイミングかもしれない。フランスワインが原料産地まで厳格に規定されたAOCから日常気軽に飲める産地限定のないテーブルワインまであるように、いも焼酎にもいろいろあってよいはずだ。ワインと並んで地域農業との関係が密接ないも焼酎の今後の展開に注目したい。

2003年12月13日掲載