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変わる日本食レストラン ロボットと日本人雇用― カナダ・トロントで今おきていること〜後編

調理ロボットと日本人雇用

 先日、とある日本のTV番組を見ていたら、海外にある日本食店舗数が過去3年で2倍になり、2010年の3万店舗から2013年は5万5000店舗、2020年には3倍の9万店舗を予想しているというデータが出ていた。
 経済産業省は、海外の日本食店舗の増加に伴う経済効果を2009年の2.2兆円から2020年には6兆円を目標に掲げているとのことで、その中でも調理ロボットの革新的な開発は、日本人の味覚センスを忠実に再現してくれる役割の一端を担っており、日本食を海外で広く普及するための重要なファクターになりそうだ。
 調理ロボットに日本人の味覚や料理の役割の一部を担ってもらう一方、居酒屋が日本人スタッフを必要としている理由は、日本文化を広める役割りはもちろんだが、日本語が鍵だ。Karaage、edamame、 ra-menなどは日本語のまま使われている。
 現在、カナダはワーキングホリデーという就労ビザがあり、30歳までの日本人は申請許可が下りれば、カナダで1〜2年働くことが出来る。居酒屋にとって彼らは大きな即戦力で、彼らの約半数は、ワーキングホリデーの期間が終了した後、一旦日本に帰国するのだが、その後カナダに戻る意向がある者が多いそうだ。
 『Guu Izakaya』のCEO小笠原さんは、日本で人材派遣会社を立ち上げ、2014年から海外への飲食業界への人材派遣をスタートさせる。土、日も営業してローテーションで働くため、1店舗で常に30人以上のスタッフが必要になる。新規の居酒屋開店もあるため、常に有能なスタッフを求めている。雇用される側にとっても数年で新しい店舗をカナダの何処かで開くチャンスがあり、夢のある仕事だ。
 しかし、問題点もある。昨今、カナダの就労ビザを取得するのに時間がかかるようになった。人材派遣会社には期待しているが、きちんとした人材確保のシステムづくりも重要な仕事になるだろう。 ■
宮下清子(カドエンタープライズ)
2013年秋号掲載

月刊 酒文化2013年10月号掲載