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ロングアイランドのワイナリーツアー

 ある秋晴れの日曜日、ロングアイランドのワイナリーツアーに参加してみた。マンハッタンの東に細長く続くロングアイランドは、セレブの別荘が立ち並ぶ高級住宅地があり「華麗なるギャッツビー」の舞台としても有名だ。南海岸にはニューヨーカーのお気に入りのビーチが連なり、夏のロングアイランド鉄道は大混雑となる。一方、北側は「ニューヨークのボルドー」とも呼ばれブドウ畑が続く。マンハッタンからは様々なツアーバスが出ていて、車がなくても容易に訪れることができる。
 選んだのは一〇五ドルとお手頃なソースドアドベンチャーズ主催のツアーだ。ダウンタウン東のアドベンチャーカフェが集合場所、スタートは午前九時で、参加者は五〇名くらいだろうか。大多数は白人で日本人参加者は私だけ、隣の席の方は、ナパヴァレーに近いカリフォルニアのサクラメントから観光に来た白人女性だった。バスは東に走ること二時間。大都会の喧騒はわずかな間に長閑な田園風景に変わり、眺めているだけでストレスがほぐれていく。
 ツアーはたいがい三ヶ所のワイナリーを訪れる。テイスティングは追加で払う場合もあるが、このツアーはなんと一三杯のテイスティング付き。最初に訪れた教会風の「ラファエル」では、四種のワイン以外にパンやチーズ、オリーブといったおつまみを、クラシックムードあふれるシャンデリアの広間でいただく。外にはどこまでも広がるブドウ畑。家族経営のこのワイナリーのルーツはイタリアだそう。
 二ヶ所目は人気の「レンツ」。ここでピクニックランチが提供される。アメリカでは定番のターキーサンドイッチだが、ワインと一緒に外で食べるとおいしさは格別だ。
 三ヶ所目は「オスプレイ・ドミニオン」。オスプレイはタカ科の鳥のことで、ラベルにも描かれている。ここにも広々としたピクニックエリアがあり週末は子供連れで大賑わいだが、ツアー参加者はほとんど外に出ずテイスティングする方ばかりだった
 さて、私は「ラファエル」と「オスプレイ・ドミニオン」でワインを一本ずつ購入した。どちらもフルーツテイストとアロマの香りの効いた女性に優しいワインだ。ワイナリーでは割引販売をしているところが多く、つい買いたくなるのだが、二本でも結構重い。サクラメントから来た女性は持ち帰るのがさぞかしたいへんだろうと思ったが、たっぷり買って別送の手続きをしたとのことで手ぶらだった。なるほどワインラバーにとってワイナリーツアーは、単なる観光ではなく、買い付けツアーでもあるのだ。ならばカリフォルニアからはるばるここまで来るのもわかる。
(あおきたかこ・ニューヨーク在住)
2017年特別号下掲載

月刊 酒文化2017年11月号掲載