阿蘇の山の奥の奥で発見 銘酒『通潤』

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 熊本地方を震央とする熊本地震では、熊本市から阿蘇、さらに大分にかけて甚大な被害がありました。今、被災地では復興に向けたくましく前進しようとする動きが活発です。
 このコーナーでは熊本の酒蔵・料飲店・酒販店などの頑張る姿や、各地で広がる支援活動をお知らせしていきます。

古い本社屋を改装してゲストハウスを設けた通潤酒造。

 景勝地「高千穂峡」(宮崎県)には熊本空港からが便利、よく整備された道路が通じており車なら1時間半ほどです。阿蘇の山を抜ける途中、山都(やまと)町にある通潤橋に立ち寄ると、そばに一軒の酒蔵があります。『通潤(つうじゅん)』を醸す通潤酒造です。この酒、県外はもとより熊本市内でもあまり見かけることはありません。地元の農家が栽培した米で仕込み、ほとんどが地元で飲まれるという、地産地消を地で行く酒蔵だからです。
 9月初旬金曜日、アポも取らずふらりと訪ねました(見学希望の方は同社のホームページを参照しアポを入れてください)。にもかかわらずゲストハウスで試飲させてもらえたうえに、「よろしかったら蔵をご覧になりますか?」とのうれしいお誘い。
 立派な構えの本社を進むと、酒蔵が左右に伸びていました。右手は昭和期に増設した鉄筋コンクリートの蔵、左手は200年以上前に建てられた土蔵の蔵です。「春の地震では古い蔵がひどく傷みました。壁が落ちて柱がむき出しになり、天井からの土が貯酒タンクに落ちてタンク2本分を廃棄せざるを得ませんでした。瓶に入れて貯蔵していた原酒は約200本が破損してしまいました」と広報担当の菊池一哲さん。
 古い蔵の真っ黒の柱は松だそうで、拳骨で叩くと石ではないかと思うほどの固さでした。この頑丈な柱を支えに太い梁を巡らせて広い作業場を確保したのが酒蔵で、土台の石にトンと置かれています。昔の工夫で、そうすることで地震の揺れを逃がす免震構造になっています。今回の地震では土台石に乗っていた柱が10〜20僂皀坤譟⊂弖發梁腓さを物語っています。
 損傷の大きさに今年の酒づくりができないのではないかと、恐る恐る質問してみました。すると「酒米の栽培をお願いしている地元の農家の皆さんが、震災の直後から酒米づくりにかかってくれて、いい米ができそうです。傷んだ古い蔵での酒づくりは難しいですが、無事だった鉄筋の蔵の方でやれるように準備を進めています。手狭になりますが、せっかくがんばってお米を作ってもらったのでいい酒をつくりたいです」と元気な回答。
 蔵見学を終えてあらためて試飲してみまし。同社がいまイチオシの『蝉』という商品は、繊細ながら凝縮した味わいでひときわおいしく感じました。純米大吟醸酒を最低1年は寝かせて、軽快な中に深みのある味わいを追求したのだそうです。ぜひ、お試しください。

所在地:熊本県上益城郡山都町浜町54
TEL:0967-72-1177
http://tuzyun.com/

丁寧に蔵を案内してくれた菊池一哲さん。
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地震で蔵を支える柱が土台石の上を10〜20僖坤貽阿い拭
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古い土は天井と土壁が落ちて痛々しい有様に。
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『蝉』は熟成した純米大吟醸酒。ゲストハウスでの試飲は香りがよくわかるようにワイングラスを採用。
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モダンな和風の内装に仕上げたゲストハウス
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江戸期に建造された通潤橋は国指定の重要文化財。中を水が通り農業用水を送る。水路の洗浄のため定期的に放水されていたが、地震で痛み現在は中止している。
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景勝地「高千穂峡」。ボートから見上げる滝は美しい。
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2016年10月10日