それぞれの乾杯−日本のかたち、日本のこころ−

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「日本酒で乾杯推進会議」は10月に東京で、表題のイベントを開催した。同組織は日本酒造組合中央会が主体となり、日本文化の根枯れ現象に警鐘を鳴らし、日本酒を手がかりに日本文化に親しんでもらうことを狙おうと3年前に発足したもの。

 冒頭、石毛直道代表(民族学者・元国立民族学博物館館長)は「日本の食はご飯と酒をおいしくするために洗練されてきた。それが海外でも評価され日本食が広がっているのはまことに喜ばしいことだ。けれども我々自身が日本食についてよく理解しているとは、残念ながら言えない。日本酒で日本の食を楽しみながら、己の文化を知ることを提唱していきたい」と挨拶。
 フォーラムでは、藤ジニー氏(山形・銀山温泉旅館女将)と神埼宣武氏(民俗学者)の司会で、八角親方(元横綱北勝海)、桂文生師匠(落語家)、橋本聖子氏(日本酒を愛する女性議員の会副会長)をゲストに、各者の乾杯のエピソードの披露や盃事の作法の解説・実演がおこなわれた。
 続く懇親パーティにはたくさんの日本酒のほかに、各業界団体の協力で日本の伝統食品である味噌、醤油、かまぼこの試食品、会場の東京會舘による各地の伝統料理が準備され、参加者を楽しませた。また、食によるまちおこしを推進する福井県小浜市は、同地特産の魚介加工食品をアピールした。
 今回のイベント以外にもこの運動は着実に広がっている。「日本酒で乾杯推進委員会」の会員は、各界著名人を含め登録者数が一万人を超え、現在は三万人を目指して活動中。岡山ではメンバーが自発的にイベントを開催し、地方での展開も活発化しつつある。来年には乾杯の文化研究成果の出版も予定している。

2006年11月06日 09:53