スコッチ文化研究所は一月に東京でウイスキーフェスティバルを開催した。昨今のシングルモルトウイスキーへの関心の高まりもあって、前売りチケットはほぼ完売、大勢の来場者で賑わった。
写真:ウイスキーの樽熟成を熱く語る輿水精一氏(サントリーチーフブレンダー)
冒頭、土屋守代表の開会挨拶に続いておこなわれたのは、伝統的な作法にのっとった「ハギスの儀式」。キルトを着た男性たちがウイスキーを称える詩を朗読し、スコットランド伝統の腸詰料理であるハギスを切り分けてウイスキーで乾杯。そこからは試飲パーティが本格的にスタートし、販売業者やメーカーのブースで、参加者は熱心に飲み比べていた。
別室では土屋代表やサントリーチーフブレンダー輿水精一氏などによるセミナーがあった。輿水氏の回を聴講すると、ウイスキーを特徴づける「樽熟成」へのサントリー社のこだわりが語られた。同社は1940年から国内産材による樽づくりを開始し、戦争で一時中断したものの現在まで続いけている。樽熟成は「酸化反応」「樽成分の溶出・分解」「水とアルコールの会合」「エステル成分の生成」の複合的なもので、それぞれのメカニズムも科学的にかなり解明されてきた。しかし、とはいうものの毎日数百の樽の原酒をチェックし続けて思うのは、まだまだわからないことだらけだ。おいしいウイスキー原酒を得るためにやることはまだまだたくさんあることを痛感している。ウイスキーの進化に終わりはないと結んだ。
ウイスキーを使ったおいしいカクテルも紹介された。写真はバノックバーン
ハギスの儀式はウイスキーを称える乾杯で終わる
メーカー各社が自慢のウイスキーを出品
和服姿の女性もウイスキーを試す