お花見で復興をサポート〜東北の酒をおおいに飲もう!

photo110406_1.jpg

東日本大震災で被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
今回の地震では、地震や津波の被害が大きかった三陸地方だけでなく、福島第一原発の放射能漏えい事故とそれにともなう風評被害、東北全域にわたる物流・通信のマヒを引き起こし、他の業界同様、たくさんの酒蔵や酒の流通業者が苦境に陥っています。さらに全国に広がる自粛ムードによる消費の冷え込みが追い打ちをかけています。銀座や六本木の飲食店は開店休業状態、観光施設は再開しても客足はまばら、とうぜん酒は売れず先行きに不安が募るばかり、まさに二次災害とも言うべき状況です。こんななか東北の小さな酒蔵たちから、元気なメッセージが発信されました。

写真:「元気なことを直接伝えたかったので、あえて4月の試飲会を決行しました」と言う平井孝浩社長

町の半分が津波に飲みこまれた石巻市の平孝酒造(酒名:日高見)では、地震の時に大吟醸酒の醪がタンクのなかで発酵中でした。12本ものタンクからは地震で醪が床にこぼれ、ライフラインが止まって温度管理ができなくなり、「一時は酒にはならない」と諦めたと平井社長は言います。ただ、物的な被害はあったものの、幸いなことに家族や社員はみな無事。「だから、すぐに立ち上がる力が湧いてきた」とも。
少し落ち着きを見せ始めた1週間後、醪の入ったタンクからはプチプチとまだ発酵音が。平井社長はこの音を聞いて、この酒をなんとか世に出してやろうと心に決めます。2週間後に搾った酒は力強い味わい。通常の日高見とはタイプは異なりますが、燗でおいしそう、濃厚な料理と合わせたいような味わい。平井社長は「酒を口に含んだ時、酒から『なに心配してんの? 大丈夫だよ』と言われた気分だった」と言います。この酒はずっと日高見を売ってきてくれた酒販店で販売され、売上の一部が義捐金として寄付されます。
南部杜氏の里である岩手県紫波町の月の輪酒造店は、地震で蔵のシンボルだった煙突が崩れ、建物や商品に大きな被害がありました。そして、物流が途絶えてご注文いただいていた酒を出荷できない状態が続きます。ようやく動き出すと次は巨大市場の首都圏の消費の冷え込みが直撃、おいしい酒は無事なのに誰にも飲んでもらえません。東北と茨城の酒メーカーは、どこも少なからずこうした状況にあります。
これを打開しようと、月の輪酒造で酒づくりをリードする横沢裕子さんは、岩手県内の酒蔵2社と一緒に、いま、ビデオレターで「お花見をして、お酒を飲んで」というメッセージを送っています。ぜひ、ご覧ください。

《参考 酒蔵への義捐金・酒蔵の寄付活動》
・清酒と本格焼酎の業界団体である日本酒造組合中央会は、被災した酒蔵への義捐金を募集しています。詳しくは以下で。
http://www.japansake.or.jp/common/outline/pdf/gienkin.pdf

秋田の蔵元5社が4/17に被災地の酒蔵支援チャリティーオークションを開催
http://akita.keizai.biz/headline/1158/
・旭酒造株式会社(山口県岩国市)では売上の1%を1年間義捐金として寄付します。
http://asahishuzo.ne.jp/info/report/item_1259.html
・渡辺酒造店(岐阜県飛騨市)は「復興祈願酒」を発売(720ml 1000円)。
売上全額を義捐金として寄付。
http://www.sake-hourai.co.jp/topics_charity.html

photo110406_2.jpg
日高見の新酒試飲会には、早朝から大勢の酒販店主が集まった

photo110406_3.jpg
震災をくぐり抜けちから強い味わいの酒に仕上がった日高見〈被災酒〉

2011年04月06日 19:05