日本酒フェアで燗酒セミナー開催

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 6月14日(金)に東京・池袋で開催された日本酒フェアには過去最高の5500人が参加、11時の開会には長蛇の列ができ、20時の閉会までたくさんの日本酒ファンでにぎわった。
 今回、酒文化研究所は「スローフードジャパン燗酒コンテスト」のブースを、酒問屋の株式会社升喜とともに出店し、「燗酒のおいしさ倍増メカニズム」と題した試飲セミナーを開催した。この日は計8回おこない、毎回ほぼ満席の約70名が受講して大盛況となった。

写真:熱心に聴講する参加者たち。同じ酒でも常温と燗では味が一変する。

 日本酒は温めて飲むことがスタンダードになっている数少ない酒だ。もともとは寒い時期に暖を取るために始まったようだが、時代が下がるともてなしの要素や、くつろいで酌み交わす場の酒という要素が加わって、昭和の頃には「日本酒=燗」が定着していた。もちろんベースには日本酒は温めておいしさが増すということがある。コハク酸や乳酸は温めておいしく感じる性質があり、これらを多く含む日本酒は温めると味わいが膨らんで一段とおいしさが増す。
 ところが平成に入る頃から冷やしてスッキリと飲ませる吟醸酒タイプの酒が好まれるようになって評価は一転、「燗は安酒をごまかす飲み方」だとか「いい酒は冷やして飲む」と俗説が吹聴され、日本の伝統的なスタイルである燗は否定的に語られるようになった。
 「燗酒とともに酒の道具立ては発達した」と言ったら大げさだろうか。徳利や猪口などの和酒器や、酒を注ぎあい歌舞音曲とともに楽しむお座敷遊びは、燗でなければならなかった。そして燗酒は料理との相性の幅が広く、和食との組み合わせは抜群。旨味と旨味の相乗効果でおいしさ倍増、柔らかな飲み口も心地よい究極の食中酒である
 セミナーではこうした燗酒文化の解説をお聞きいただいた後、実際に「常温と燗」を飲み比べ、さらに、かつおだしのスープと燗酒のペアリングを試し、「おいしさ倍増」を体験していただいた。参加者からは「お燗でこんなにおいしくなるなんて驚きました」という感想をたくさん頂戴することができた。
 まもなく2013年度の「スローフードジャパン燗酒コンテスト」が開催される。どんな名酒と出会えるかご期待ください。

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燗酒コンテストの金賞受賞酒と鰹の出汁スープでペアリング

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お燗は「湯煎」で準備

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都道府県ごとにブースを出店。立ち飲み風の試飲コーナーは愛媛県、コンパニオンが迎えてくれたのは新潟県

2013年06月29日 14:22