酒好きほぼ100人に聞くアンケート「酒飲みのミカタ」 カップ酒大国ニッポン

いつでもどこでも気軽に楽しめるカップ酒。パイオニアは1964年発売の『ワンカップ大関』です。全国各地の酒蔵が続々と商品化し、焼酎や梅酒にも登場、最近はカップ容器のワインも人気です。カップ酒は海外で見ることのない日本独自の商品です。今回の酒好きほぼ100人に聞く酒飲みのミカタは日本ならではのカップ酒についてお聞きしました。

■「日本酒のカップ酒」はほぼ全員が、他カップも半数が認知
今ではカップ容器に入ったさまざまなお酒が楽しまれていますが、初登場は半世紀以上前の日本酒からでした。それまで主流だった一升瓶を『ワンカップ大関』が10分の1の180mlにパッケージしたところ、アウトドアや旅先で気軽に楽しめると大ヒットします。飲みきりサイズで嵩張らない点や容器からそのまま飲める点も喜ばれ、全国の日本酒メーカーが次々に商品化しました。当時は2000を超える酒蔵がありましたから、その7割くらいがが一級酒と二級酒の2種類をラインナップしたとすると約3000種類のカップ酒があったと考えられます。現在は酒蔵が1000社くらいに減りましたが、半分ほどは多アイテム発売しており、総数はほとんど減っていません。容器もガラス製のものだけでなく紙製やペット樹脂製が登場、最近は遮光性の高いアルミ缶のものも増えています。
カップ酒の認知状況を聞いた質問では、清酒のカップ酒の認知率は容器によらず約8割を超えていました。そのほかの酒では「梅酒のカップ酒」が63%と高く、各種焼酎も過半数が認知、登場して日の浅い「ワインのカップ酒」も45%が認知しています。


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発売55年目を迎えた『ワンカップ大関』


■飲用経験率が低い焼酎カップ、ワインカップは健闘
カップ酒の飲用経験は、96%が「ガラス製の日本酒のカップ酒」を飲んだことがあると回答しました。日本酒でも「紙製カップ」や「アルミ缶カップ」は6割弱にとどまります。
「焼酎のカップ酒」は「甲類焼酎」「麦焼酎」「芋焼酎」はどれも3割弱にとどまりました。焼酎はほとんどの商品がアルコール度数は25度です。お湯やソーダで割ったり氷を入れたりして飲む方が多いので、基本的にそのまま飲むことを前提とするカップ商品には手を出しにくいのではないでしょうか。飲用率を高めるには、アルコール度数を日本酒並みの15度ほどに下げたカップ焼酎の育成が必要でしょう。
それに比べると登場してまだ日の浅い「ワインのカップ酒」の飲用経験率28%は高いと見てよいでしょう。2019年の「家計調査」(総務省)では世帯主の年齢が30代・40代・50代の世帯では、ワインへの支出金額が日本酒を上回りました。ワインは家庭でも日常的に飲まれるようになっており、カップ酒需要は高まると予想されます。これから拡大が見込まれます。
なお、認知率が63%と高かった「梅酒のカップ酒」の飲用経験は26%と低く、トライアルを促すことが課題となっています。


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サントリーはカップワインを飲食店専用で販売し、「気軽にワイン」を推奨


■飲んでみたいのは「高品質な酒」と「レアな人気銘柄」
飲んでみたいカップ酒を聞いた質問では「高品質なカップ酒」(66%)と「レアな人気銘柄のカップ酒」(55%)の2つが際立って高くなりました。日本酒のカップ酒をイメージした回答と思われます。
「パッケージがおしゃれなもの」「ジャケ買いしたくなるもの」「シリーズでコレクションしたくなるもの」などパッケージデザインの要素をあげる方が多いのもカップ酒の特徴です。いずれも約3割の方が選んでいます。


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■飲むシーンのトップは「旅先のホテルの部屋で一人飲み」
どんな時にカップ酒を飲むかを聞いたところ、「旅先のホテルの部屋で一人飲み」という回答が66%でトップで、過半数を超えたのはこの項目だけです。続くのは「プライベートな旅行の電車・バスの中で」「ふだん自宅で」「出張帰りの新幹線・特急列車の中で」の3つが40%台です。旅先で飲むイメージが強いカップ酒ですが、「ふだん自宅で」が42%もあります。どれだけ飲んだかわかりやすい、少しだけ飲みたいなどの理由で、カップ酒ならではのベネフィットがあるからではないでしょうか。


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■海外への手土産なら「和風のパッケージ」「伝統的な製法の日本酒」
コンパクトで携帯しやすいカップ酒は海外旅行で手土産にするのも人気です。どんな点を重視して選ぶかをひとつだけ選んでもらったところ、「和風のパッケージデザイン」と「伝統的な製法の日本酒」の2つが約3割の得票でトップでした。富士山や桜あるいは伝統芸能をラベルにあしらった商品は多いのもうなずけます。


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和風デザインの純米酒が人気

【調査概要】調査時期:2020/5/12〜5/18 調査方法:インターネットによる自記入式アンケート/サンプル数:108 人(お酒好きな人)

2020年07月07日 10:48