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米国産と日本産の協力態勢で開拓を

 米国では現在5社(Takara USA、Gekkeikan、Yaegaki、Ozeki、 Sake One)が清酒の醸造を行っています。そのうちSake Oneを除く4社が、ここカリフォルニアで清酒醸造を行っています(Sake Oneはオレゴン州)。
 米国全体を考えてみた場合、Sakeという単語でHot Sake(熱燗)をイメージする人は今でも相当数います。ニューヨークや西海岸ではお酒といえば冷酒だと思う人が増えてはいますが、Sake=熱くして飲むもの(実際徳利が持てないほど熱い場合が多い)という認識はしっかりと根付いています。
 その熱燗用のお酒は米国産が多く、18リットルのキュービーテナーと呼ばれるものを専用の酒燗器にセットする場合が主流です。米国人が経営する日本食レストランでハウスサケと言えばこのキュービーテナーを指し、全体の約8割のお店が採用しています。
 レストランがキュービーテナーを導入する理由としては、_然覆安い ⇒益率が高い 8楜劼らの要望 の3つがあげられます。
 ,亡悗靴討蓮∧振囘なキュービーテナー1個の卸値は約50ドル(18リットル)で、米国産であること(関税、輸送費などが日本産のものに比べると格段に安い)が価格面での大きなアドバンテージであると考えられます。
 △砲弔い討任垢、客単価30ドル前後のレストランでのハウスサケ徳利1本(約一合)の価格は5ドル前後ですが、その原価は約50セントで、利益率は約10倍となります。地酒の利益率が(レストランの考え方により異なりますが)2.5〜3倍という状況を鑑みると、非常に高利益率の商品であるといえます。
 は一部の日本酒に関する知識の高い層を除き、特に銘柄にこだわりを持たない消費者が多いため、価格も手ごろなハウスサケを注文することが増えているようです。このことはワインともよく似ています。ワインを注文する際に、赤か白かで選ぶところから始まり、その後知識をつけてシャルドネ、ソーヴィニョンブラン、カベルネソーヴィニョン、ピノノワールなど、ブドウの種類で注文するようになる愛飲家が多くみられます。Sakeについても、まずは手ごろな価格の入り口製品を試している段階のように感じられます。
 米国の清酒メーカーは、まさにこういった商品を土台としてレストランの口を開け、そのうえでアップグレードなクラスの清酒や現地市場に合ったフレイバード酒、スパークリング酒などの展開を柔軟に行い、幅広い層の日本食レストランをカバーしています。
 一方で地酒(日本から輸入されている酒)はそれぞれの蔵の造りやお酒の味わいの違いに加え、各地域が持つ歴史や文化的背景の違いをセールスポイントとして製品を売り込んできました。また、日本食の需要が高まり始めた当初は日系人や日本人駐在員を中心とした、企業の接待需要の多いレストランが高級地酒を主として取り扱ってきました。
 その後、ヘルシーなイメージやおいしくて見た目も美しい点などから一般の米国人にとっても日本食が身近になっていく過程で、地酒も高級品中心から手を出しやすい価格帯へと広がってきています。米国への清酒輸出数量も2001年の1,853キロリットルに比して2011年は4,071キロリットルと過去最高、10年間で219%の成長となりました。
 今後の米国における清酒市場のさらなる成長に関しては、米国産清酒と地酒の協力体制が重要になると考えています。米国産清酒のバラエティ豊かな商品展開が市場の土台となり、その上に地酒の持つ歴史や豊かな地域性、文化が加わることにより、清酒市場そのものも深みを増していくことでしょう。
 そのためには、,修譴召譴離▲疋丱鵐董璽犬鯡棲里砲掘△客様に伝える 地酒、米国産に関わらず、清酒市場発展のためのターゲットを共有する といったことが今後必要になっていくと考えます。
 ローカルの日本酒好きが増え、TPOに合わせて、価格や味わい、お酒の持つ歴史的、文化的背景をふまえて、ホームパーティーに日本酒を当たり前に持っていくようになる日もそう遠くないかもしれません。黒澤久美子(くろさわくみこ・八海醸造株式会社・http://www.hakkaisan.com/:ロサンゼルス在住)

月刊 酒文化2012年10月号掲載