「飲んで応援」と熊本の酒を選ぶのは取り組みやすい支援です。ただ、他県の人がメーカーから直接購入、あるいは近隣の小売店から購入したのでは、メーカーしか恩恵を受けません。小売店や料飲店などのサービス業は裾野が広く、熊本市では人口の8割が第3次産業従事者です。復興にはここにおカネを回すことが欠かせません。熊本の酒を飲んで応援しようと思ったなら、どうぞ熊本のお店からお買い求めください!
あらき酒店&ダイニングARAKIを経営する荒木孝昭社長。ワインや日本酒を厳選し、細心の注意を払って保管・販売している。
熊本市内ですが、あらき酒店までは中心部から車で40分ほどかかりました。お店の前の駐車場には立派な並木があり、売場は150坪くらいあるでしょうか、想像していたよりも大きな店舗です。
お店に入ると社長の荒木孝昭さんがにこやかに迎えてくれました。入口から少し離れたところにいらしたので表情まではよくわかりませんでしたが、不思議と笑顔なのが伝わってきました。手短に酒販店や料飲店を訪ねて震災後の様子を取材している旨を伝えます。すると突然お邪魔したにもかかわらず、直後の混乱から、すぐに避難所での炊き出しに取り組んだことなどを話してくれました。
見せていただいた写真は床一面に落ちた瓶が散乱した一枚。最初の地震で落ちて、片付けたら本震が来てまた落ちてしまったそうです。高価なワインも多く被害額は相当な金額にのぼっただろうと想像しましたが、荒木さんはお客様が応援してくださってありがたかったと言います。割れなかったものの、ラベルが傷んだり汚れたりした商品を、お客様がそのままの価格でどんどん買ってくれたのだそうです。
また、震災直後には店前で炊き出しをおこない、その後も大勢のボランティアの手を借りて避難所で炊き出しを続けました。
あらき酒店はイタリアンレストランを併設しています。イタリアンの名店アルケッチャーノ(山形県鶴岡市)の奥田政行シェフ直伝という料理は、荒木社長の奥様が担当。お店で買ったお酒はすべてレストランに持ち込んで味わうことができます。おいしい料理とワインを楽しみに、どうぞお出かけください。
震災直後の店内。酒が散乱して足の踏み場もなかった。