熊本の海の幸を堪能 天草の甲ら家

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 天草と聞いて思い浮かんだのは恥ずかしながら隠れキリシタンと天草史郎時貞だけ、場所も定かではなく熊本県か長崎県かも自信がありませんでした(天草の皆さまごめんなさい)。今回、この「飲んで応援くまもとの酒」企画で情報を集めていると、この島の話題が時々出てきました。熊本は阿蘇に代表される山のイメージが強いですが、水産資源が豊富な海を抱えています。夏から秋にかけてワタリガニがおいしくなるから、天草も行ってくださいとの声に押されて9月初旬に訪ねました。

天草名物のワタリガニ。茹で上げただけでとっても美味。『阿蘇のれいざん』の軽い味わいがぴったり。

 熊本市内から車で2時間弱、途中、右手に広がる島原湾は穏やかで、ずっと先まで干潟が続いていました。海岸線を走る天草海道は並行して線路が伸びています。時々、小さな駅がありましたが電車を見たのは一度だけ、1時間に1本ほどしか走っていないようです。
 ほとんど信号機のない道を走り続けると、現れたのは天草への最初の橋「天門橋」です。海面からの高さが42mもあり見下ろすとお尻がむずむずしてきます。次々に5つの橋を渡り、目指す「甲ら家」に着いたのは17時前。目の前に海が広がるこの宿は熊本出身の飲み仲間のおすすめです。「ワタリガニがおいしい宿だから、熊本を応援するなら必ず行け」とそれは強烈な推しでした。
 チェックインしながらフロントでしばし立ち話。春の地震の時のことをお聞きすると、天草はほとんど揺れずお皿一枚割れなかったそうです。それはよかったのですが、熊本空港に大きな被害があったため、震災からしばらく観光客はすべてキャンセル、ゴールデンウィークから夏場が観光の最盛だけに打撃は小さくありませんでした。
 様子が変わったのは7月に九州復興旅行クーポンが発行されてからです。熊本や大分をはじめ九州各地への旅行商品に国が助成する割引クーポンの反響は大きく、その後は例年以上の人が訪れているそう。
 これでひと息ついて入るようですが、クーポンが終了する年明けの集客に不安を感じているようでした。夏は海水浴やホエールウォッチングなど賑やかな天草ですが、冬場は常連の釣り客くらいしかなく観光客が落ち込みます。集客を梃入れしようと例年さまざまなイベントを企画しているそうですが、今回はクーポンで旅行需要を先食いしてしまって、思うように人を呼べないのではないかと心配げです。
 東シナ海、有明海、八代海と三つの海に囲まれた天草は、一年を通じておいしい魚介類が楽しめます。ぜひ、冬の海の味覚を堪能しにお出かけください。

所在地:〒866-0101 熊本県上天草市姫戸町姫浦 3043-12
TEL: 0969-58-3111
http://www.kouraya.com/

おいしい魚介がリーズナブルに楽しめると評判の「甲ら家」
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目の前にはのどかな八代海が広がる
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夕食は自慢の海の幸が次々に
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2016年11月13日