ぜひ阿蘇におこしください! すっきりうまい『れいざん』山村酒造

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日本酒の後進地だった熊本は、明治期に技術者を招聘して科学的なアプローチで酒づくりを革新、吟醸酒づくりで一躍、日本のトップに躍り出ました。今も吟醸酒用の酵母として用いられる9号酵母は、熊本で分離されたものです。そんな誉れ高い銘酒産地が、地震で苦境に立たされました。困難を乗り越えて前に進む、熊本の酒造業の今をお伝えします。

元気いっぱいガッツポーズは山村唯夫社長。「いつか来る地震ならば、穏やかな春、自宅にいる夜間だったのは不幸中の幸いだったと前向き」。

山村酒造のある高森地区は名水の里として知られています。広大な阿蘇に降った雨は涵養林に抱かれて地層に沁み込み、あちこちから名水となって湧きでるのです。特に有名なのは環境省の名水百選にも選ばれた白川水源。砂地から懇々と水の湧く様子は自然の大きな力を感じさせます。
http://www.vill.minamiaso.lg.jp/map/shirakawasuigen.html

蔵の最寄駅となる高森駅の近くには高森湧水トンネル公園があります。常時毎分32トンもの水が湧出し、トンネルの中を川になって流れています。遊歩道を進むにつれ気温が下がり、夏場はマイナスイオンたっぷりの涼やかな風が気持ちいいいスポットです。
http://www.town.takamori.kumamoto.jp/kankomap/kanko/yusui.html

こんな名水の里で生まれる酒が『れいざん』です。製造元の山村酒造は宝暦12年(1762年)創業の老舗。地元阿蘇だけでなく熊本市内など県内で広く愛されているのは、スッキリとしてバランスよく飲み飽きないからでしょう。
今回の地震では土蔵の壁の一部が落ち、レンガ積みの煙突にひびが入りました。煙突は県内の酒蔵で現役のものとしては最古とか。迷わずすぐに補修を決めたそうです。
製品の被害は比較的軽微でしたが、タンクから発酵中の清酒醪が流出する被害がありました。震災時には発酵途中の醪も6本残っており、停電で冷やせない状態が4日~5日続いたため、やむなく常温で仕上げたそうです。
被災を気遣い県外からの注文が多くいただいているものの、阿蘇の観光客は激減、熊本市内も宴会どころではなく、熊本県内の市場の落ち込みをカバーできない状態が続いていると言います。
さあ、ここからは皆さんの出番です。『れいざん』を阿蘇のお酒屋さんから取り寄せてください。そして時間に余裕があれば、この機会にぜひ阿蘇を旅行してはいかがでしょうか。雄大な自然、気持ちのいい温泉、おいしい食と『れいざん』が待っています。

●山村酒造合名会社
熊本県阿蘇郡高森町高森1645
TEL0967-62-0001
http://shop.reizan.com/

本社にはゲストハウスとショップが併設されている。ゲストハウスでは先代の社長夫人が描いた素適な絵画も楽しめる。
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補修工事中の煉瓦の煙突。富岡製糸工場と同じフランス積みで丈夫な構造。
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酒蔵のなかの発酵タンク。揺れで醪が溢れて、床一面が真っ白になった。
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阿蘇の根子岳を臨む休暇村南阿蘇。良質な温泉もありくつろげる。
http://www.qkamura.or.jp/aso/
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トロッコ列車が走る南阿蘇鉄道の終点が高森駅。残念ながら地震のため運転再開の見通しが立っていない。駅舎には応援メッセージがたくさん。
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ラーメンなら地元で人に愛される高森駅前の王来軒。
http://tabelog.com/kumamoto/A4302/A430202/43002314/
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「がんばるけん熊本!」の首かけを見つけたら、熊本のお酒です。ぜひお試しください。
山村酒造の商品の詳細はこちら。

http://shop.reizan.com/
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2016年08月20日