台湾のコンビニの酒

 深夜にちょっと飲みたくなって、でも家に酒がない時、あなたはどうしますか? 台湾はコンビニ密度が高いので、こんな時たいていコンビニで酒を買います。コンビニは台湾では人口2,163人に1店舗あり、平均1平方キロあたり0.31店もあるのです。これは世界2位で、1位は韓国なのだそうです(2018年)。店舗数は日本にもあるセブンイレブンとファミリーマートが1位と2位で、外見はほぼ同じです(ファミマは中国語の「全家」と付いている)。店舗内の感じも似ています。
 酒コーナーで目立つのはやはり缶ビールです。「台湾ビール」などメジャーなビールはもちろん、「キリン」「アサヒ」「ハイネケン」はたいていあります。元々ビールの商品数は多くありませんが、コンビニは約10年前から毎年の夏に「国際ビール祭り」をやり始めました。日本、アメリカ、ドイツ、イギリス…各国からのビールを揃えるので、海外に行かなくでも世界中のビールを楽しめます。
 最近は台湾もクラフトビールブームなのですが、国際ビール祭り以外の時にはコンビニでクラフトビールはほとんどありません。例外は台湾発のクラフトビール『SUNMAI』です。一部のファミマではこのビール専用の冷蔵庫まで置いています。
 冷蔵コーナーには、ビール以外に缶入りのチューハイがあり、サントリーの『ほろ酔い』が人気です。日本酒は最近、品質管理を意識して冷蔵庫に入れるコンビニも出てきました。これから高品質の日本酒も台湾のコンビニで買えるようになるかもしれません。
 ビール以外ではウイスキーが多く並んでいます。台湾の「カバランウイスキー」は有名ですが、コンビニには並んでおらず予約注文でなければ買えません。ですが『ジョニー・ウォーカー』や『サントリー角瓶』など海外の有名ブランドが並んでいます。小瓶ですぐに飲み切れるタイプです。
 台湾のスピリッツである高梁酒もあります。昔の高梁酒はアルコール度数50以上あるものが多かったのですが、最近は高アルコールの刺激より飲みやすさが求められており、高梁酒のアルコール度数は40度前後まで下がってきました。まろやかな飲み口の余韻が長い高梁酒も徐々に開発されています。
 コンビニで販売している酒は高くない商品ですが、予約販売でギフト用の酒も購入できます。お正月や中秋節などの時には、コンビニでも珍しい酒に出会う可能性があります。
 台湾のコンビニはイスとテーブルがありますが、「店内での飲酒をおやめください」と表示する店が多いです。台湾では屋台が遅くまでやっていますので、コンビニで酒を買って、おつまみは屋台で買って、家やホテルで楽しむのがいいと思います。
(ケニーヤン・台北在住)
2020年冬号掲載

月刊 酒文化2020年06月号掲載