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台湾に日本酒の花が咲いた

 4月中旬、台湾の大手スーパーCITY SUPERは約15社の日本酒の酒蔵を連れて台北と高雄で試飲販売会をおこなった。このスーパーは台湾がWTOに加盟し日本酒の輸入を解禁した10数年前から、ずっと日本酒を台湾の人に紹介してきた。現在は台北から台中まで7店舗を展開している。台湾ではインターネットでの酒類販売は禁止されており、実店舗での対面販売でしかお酒は販売できない。今回、店舗のない高雄で試飲販売会をおこなったのは、これから高雄に出店する可能性もあるのだけれど、台湾南部でも日本酒のニーズがあると確信してのことのようだ。
 今春開催された台北国際酒展・純酒展(TWSF SPRING)は日本酒だけではなく、酒類全般の一般消費者向けの展示会だ。今回は日本酒専門イベント「SAKELISM 日本酒主義」と同時開催となった。SAKELISMは2013年の秋から始まった。それまで日本酒イベントはインポーターが独自に企画するのが一般的だったが、このイベントは初めて会社の壁を破り酒蔵100社近くが出展した。毎年秋に開催してきたが、去年はいったん見送って、台北国際酒展・純酒展にジョイントした。日本酒だけのイベントでは、既に日本酒が興味を持っている方が多くなる。けれどもビールやワインも含む酒類全般の展示会なら、日本酒を知らないお客様との出会いがある。その意味で、今回のチャレンジはいい方向だと思う。
 5月の初めに南台湾で、別の日本酒の展示会が開催された。会場は高雄ではなく台南。京都のような台湾の古都だ。歴史と文化が溢れていて、おいしいものが多いことでも知られている。この数年間、台南の日本酒消費量は明らかに伸びており、まもなく高雄を抜いて、台湾第二位になるといわれている。
 5月第二の日曜日、台湾のシンボル台北101近くの統一時代デパートで「SAKE COMMUNE」が開催された。デパートの広場で行うので、会場はお祭りのようだった。広場の周りに飲食ブースが並び、真中は人工芝と桜の木、来客はのんびり休める。主催者によるとこのイベントのターゲットは日本酒の素人で、まだ日本酒を試したことのない方に楽しんでもらえるよう、会場の設計も宣伝の方向に工夫をしたそうだ。出展する会社も日本酒関係だけでなく、旅行会社の姿もあった。参加者に感想を聞いてみると、みんな口々に楽しかったといっていた。
 このように春には日本酒の大きなイベントが次々に開催されたので、たくさんの酒蔵が台湾にやってきた。飲食店で酒蔵の会もたくさん催された。私が知っているだけでも、この2か月間に30回以上にのぼる。日本酒熱はますます高まりそうなのだが、さらに拍車をかけそうなのが関税の引き下げだ。今は関税が40%かけられているが20%に引き下げる方向で検討されており、そうなれば日本酒は急増すると見られている。この春、台湾では日本酒の花が咲き始めていたが、関税引き下げで花吹雪が舞いそうだ。
(ケニーヤン:台北市在住)          
2019年夏号掲載

月刊 酒文化2019年06月号掲載