|
|
|

■
■
■
■
■
■
■
■

■

■

■
■

■

■
■
■
■
■
■

■ |
|
 |
 |
 |
ブランデーも甲州にこだわる |
|
機山洋酒工業ではワインの他にブランデーとマールも造っている。これは大変珍しいことである。その経緯についてうかがうと、「もともと祖父の代からブランデーは造っていたようです。ただ当時はワインを造って残った分で、蒸溜機もあるしちょっと造ってみたということだと思います。いわゆる熟成された美味しいブランデーを造ろうと考えたのは、昭和63年に父がフランスのマレステ社製のシャラントタイプの蒸溜機に買い替えてからです。それを使って甲州ぶどうによるブランデーに挑戦しようということで始まりました。
それ以前の蒸溜機は戦後に立川あたりで戦闘機のジュラルミンなどから作られたもので、使えるものではありませんでした。
シャラント式の銅製の本格的な蒸溜機を買ってからは、毎年少しずつですが甲州を蒸溜してオーク樽に入れて熟成させています。10年以上経ってからようやく商品化して『ラ・フリューテイスト(フランス語で笛吹きという意味)』と名付けて発売しました。中身はすべて10年以上熟成させた原酒100%です。蒸溜機の操作というのは、ワイン造り・ぶどう作りとはまた違った仕事でこれも大変面白い作業です」
実は、この新しいシャラント式蒸溜機については面白いお話をうかがった。ブランデーの味を決める大きな要素は、煉瓦でできた釜の部分の内側(熱風の通り道)の形状によるらしい。
そのことを知ったのはブランデー造りについての文献を読んでいた時なのだそうだが、当然ながらその時点では蒸溜機はできあがっていて煉瓦の釜の中の形を見ることはできない。今となっては、これを作った職人さんの勘がすべてであったということになるが、結果的には満足のいくでき上がりになっているのでよかったということらしい。
また、一般にワイナリーでブランデーを造る場合には、最初からブランデーを造ろうと思ってワインにする場合とワイン用に造ったものを在庫調整でブランデーにする場合とふた通りがあるという。コニャックの場合にはサンテミリオンやユニブランというぶどうを使っており、これは酸があって比較的ニュートラルなワインに仕上がり、蒸溜して樽に入れて熟成させるとよいブランデーになると言われている。
甲州の場合も比較的ニュートラルで酸はあまり強くないが、蒸溜用のワインにはよいと考えて始めたそうだ。というのも、かつて県内のメーカーでも甲州100%のブランデーを発売していたことがあるようだが今は販売していないので、日本を代表する甲州のブランデーはこれだというものを造ってみたかったからだ。このブランデー造りについても殆どが文献を読んでの独学だという。
「もちろんチャンスがあれば人にも聞くのですが、ブランデーの場合はあまり聞ける相手もいませんので。でも蒸溜はすごく面白い仕事です。ワインを仕込む段階からいろいろ条件を考えて工夫したりして結果がどう出るのかを想像します。まあ、いかんせん仕込む量が少ないということと、結果が出るまで何年もかかるので、あまり大した新しい取り組みはできていないのが残念ですが」
一方、マール(ぶどうから造る粕取り焼酎のような飲み物)については、土屋氏たちのワイン造りが軌道に乗り始めた97年から製造を始めた。こちらはブラッククイーンでワインを造った後の搾り粕を発酵させて使っている。これを始めたきっかけは、せっかく蒸溜機があるのにブランデーの蒸溜だけだと年間に1〜2週間しか使うことがないので、何か造れないかということがそもそもの動機だそうだ。
そこには、蒸溜酒の面白さをもう少し追求してみたいという土屋氏自身の願望もあった。テストを重ねて、いわゆるマール(フランス)やグラッパ(イタリア)とは少し違うかもしれないけれど、十分に自分たちで造ったものという個性が主張できるレベルに仕上がったと判断し、「マール・ド・キザン」と名付けて発売することになった。勝沼にはブランデーの製造免許を持っているところは他にもいくつかあるが、同社のように実際に毎年ブランデーやマールを蒸溜しているところはないのではないかと言う。ブランデーはそう多くは売れるものではないし、在庫負担などの金銭面を考えればとても増産できるものでもないらしい。
お話をうかがった後で会社の中を見学させてもらった。敷地内には木造3階建ての母家(社長の両親の住まい)をはじめ、しゃれたゲストルームと隣接する作業場・地下セラー、少し離れて新築されたワインセラーなどが点在する。事務所には、パソコンと共にワインの成分分析などを行う機器類も配置されている。そう、ここでは一人で何役もこなさなければいけないのである。社長業も研究者も製造部も営業も出荷もすべて兼任されているのだ。
ゲストルームには木炭で焚く暖炉があり、訪れた時にはすでに赤々と燃やされていた。その一画にバーカウンターがあり、お客様はそこで試飲をしたり注文をしたりする。どちらかというと販売する場所よりも旅人をもてなすクラブハウスという雰囲気である。遠来のお客様に日本一のぶどう産地で造られたワインの素晴らしさ、風土性などを体全体で理解してもらおうという心意気が感じられる。
| ●
|
機山洋酒工業株式会社 |
|
山梨県塩山市三日市場3313 |
| 電話 |
0553(33)3024 |
| FAX |
0553(32)4119
| |
| URL |
www.kizan.co.jp
| |
|
| お酒の四季報(2001年冬号) |
|
|
本サイトの画像及び文章その他一切のデータの無断使用・転載を禁じます。
copyright(c)1997-2004 Sakebunka Institute,Inc all rights reserved |