■NYC 身近なクラフトビール

 都市部を中心にクラフトビールが一大ムーブメントになっているアメリカ。昨秋、ニューヨークを訪問すると、健康やエコにこだわるスーパーマーケット「ホールフーズ」の酒売場はクラフトビールで埋め尽くされ、冷蔵ケースに並ぶのは全米各地のビール。なかでも大きなスペースを割いているのか地元ニューヨークのビールで、なんと通い瓶での量り売りまでしていた。
 ニューヨークを代表するクラフトビールは、ブルックリンブルワリーである。毎週末はブルワリー内のパブを開放して、リーズナブルに試飲できるそう。また、ウイークデーは夕方に30人限定の有料ブルワリーツアーが開始される。ひと月前に予約を受け付けるが、数日でチケットは完売してしまう。
 運よくツアーチケットを入手でき参加してみると、参加者の多くはブラジル、ドイツ、南アフリカなど、私も含めて海外からの観光客だった。日本では会社のPRビデオを見て、工場を見学してから最後に試飲が常だが、ここではいきなり試飲。それも4種類も次々に出てきて、ガイドの女性がマシンガンのような早口の英語で説明する。ほろ酔ってから工場を見学して、いい気分でお土産を買うからだろう、ビールやグッズを皆たくさん抱えて帰っていった。(酒文化研究所 山田聡昭)
2016年夏号掲載

月刊 酒文化2016年06月号掲載