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二日でわずか三六〇リットル
蒸留当日は私達の他にも一〇名程度の見学者が集まった。まず最初にひと月半前から水を加えて発酵させた酒粕のもろみを見せてもらう。ヨーグルト状になっていて、酒粕のよい香りがぷーんとする。この段階ですでにアルコール度数は一五度前後にまで上がっている。もちろん酵母は加えずに、もともと酒粕の中に残っている清酒の酵母による自然発酵である。
そこに籾穀が加えられた。比率は酒粕もろみ一八〇リットルに対して籾穀一二五s。籾穀を加える理由は、ヨーグルト状のもろみの中に空気の通り道を作ることとスパイスとしてである。食用でない籾がここに加えられることには、理屈では理解できても見ていて違和感は残る。もし他のものを使用すれば、もっと現代風の味わいになるのではないかと思い質問してみたが、「籾穀を加えないと匂いが弱くなり漬け物のような香りになってしまう。この籾穀の香りが粕取焼酎の重要な要素なのです」(森永社長)ということであった。
これらをよく混ぜた後、いよいよ蒸籠に移される。その後、蒸籠が組み上げられて、上部に冷水を張った兜釜が置かれると蒸留が始まる。昔は直火で大釜の上に乗せておこなっていたようだが、現在はボイラーの蒸気を使う。だから蒸留といっても炎はまったく見えない。
蒸留を開始してしばらくすると木桶のあちこちから湯気がもれ始めた。手慣れたものでそこを酒粕でパテのように埋めていく。二〇分程経過するといよいよ蒸留液がしたたり始める。一回の蒸留で取れる焼酎はたったの六〇リットル。一日に三回、この方式の蒸留がおこなわれるのだが、合計しても一八〇リットルにすぎない。一升瓶換算で一〇〇本である。この焼酎を造るためにどれだけの時間と労力と技術を費やしているかは、今日だけでも一目瞭然である。そして、この方式では商業ベースにのる酒造りは難しいのではないか、という思いが頭をよぎった。
発売待たれる粕取焼酎の真髄
既存の常陸山は、蒸籠も金属製の枠で兜釜の大きさもこちらの倍以上はあり、一度に五倍は蒸留できる。しかしそれでも生産性は高くない。本格焼酎でもウイスキーでも、現在では蒸留に関わる人数はごくわずか、ほとんどが機械でおこなうことが可能になっている。しかし、この蒸籠方式の蒸留は、とにかく手間がかかる。粕取焼酎が廃れた原因のひとつには、製造コストの問題もあったであろうと想像するのは難くない。
「一番の願いは、伝統タイプの粕取焼酎を後世に残し、世間に評価してもらうというところにあります。最近ようやくきちんとした形で造りの情報を発信していけば、残していけるという手応えを感じるようになりました」と森永社長は語る。実はこの方式で三年前に蒸留された粕取焼酎はまだ市販されていない。同社の蔵の中でひっそりと熟成されていて、今年の夏にようやく市販される予定である。
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株式会社杜の蔵 |
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福岡県久留米市三潴町玉満2773 |
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0942-64-3001 |
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月刊酒文化 2005年6月
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