「日本酒で乾杯」

昨秋から清酒メーカーなどが音頭をとって、「日本酒で乾杯」というキャンペーンが新たに始まった。こうした呼びかけは一〇年以上前からあったと記憶するが、今回は日本の伝統文化を再評価する運動にまで広げようとしている点が特徴だ。各界に呼びかけたところ、能楽、歌舞伎、落語、茶道、華道、和食、和服など、伝統文化のさまざまな分野から賛同者が集ったと聞く。日本の伝統文化を担う方々は、同じような危機感を持っていたのだろう。
一般の方々はどんな印象を持っているのだろうかと、酒文化研究所のホームページ(一度覗いてみてください)で「日本酒で乾杯することはお好きですか」と問いかけてみた。普段は、アルコール度数が高くて乾杯に向かないとか、乾杯はビールかシャンパンに限るとか、あまり好意的な意見を聞かない。きっと「嫌い」という方が半数を超えるだろうと思っていたのだが、なんと「好き」という回答が7割近くあったのである。
好きな理由は、「国酒である日本酒を飲むべき」というような物言いは少なくて、「おいしい」「日本の伝統文化だから」「飲み干さないから日本酒でもいい」などとかなりソフト。
さらに、「嫌い」という人のなかには、「日本酒は落ち着いて飲みたいから、乾杯は嫌い」という至極真っ当な意見が多かった。
日本酒の復活は十分にありそうな感触だ。
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2005年01月20日掲載