バランス感覚

ヘビースモーカーの友人が、しみじみと「そのうち飲み屋でもタバコが吸えなくなるのかな」とつぶやいた。海外から続々と禁煙のニュースが飛び込んでくるので、そのうち日本もそうなるのではと本気で心配していた。
たしかに、昨年は世界的に禁煙ラッシュだった。3月にはアイルランドで公共の場での喫煙が禁止になり、パブでビールを飲みながらタバコが吸えなくなった。ノルウェーも夏に同様の規制が始まったと聞く。駄目を押すように年末にはブータンが国内を全面的に禁煙にしてしまった。
タバコを吸わない私はまったく窮屈さを感じないが、直感的に「これは行き過ぎではないか」と思ってしまう。カリフォルニア州で、動物虐待という指摘から2012年にフォアグラの売買を禁止するという話もそうだ。20世紀の初頭にアメリカで実施された禁酒法を、どうしても連想してしまう。禁酒法は、結局、多くの犯罪者をつくることになり、アルカポネのようなギャングを台頭させた。バランスを欠いた規制の弊害は大きいことを、人類はすでに経験している。
国民栄養調査によると25%の人が飲酒習慣をもつ。飲みすぎがよくないことは確かだけれど、付き合い方を間違えなければ、酒にはプラス面がたくさんある。間違っても禁煙の圧力が、酒に及ぶような事態だけは避けなければならないと思うこの頃である。supo20050113.jpg

2005年01月13日掲載