モデレーションって何?

来週月曜日は成人の日である。この日に見たくないのは若者の醜態で、ちょっと楽しみなのはサントリーの新成人へのメッセージ広告である。
これはかつて山口瞳氏が新しく成人を迎える若者へお酒の飲み方を大人のマナーとして伝えてきた広告である。今は、作家の伊集院静氏がそのあとを継いでいる。
 サントリーでは、この他に適正飲酒をテーマにしたモデレーション広告も実施している。ちなみにモデレーションとは「適度」「控えめ」などを意味する英語である。
「飲みすぎはいけません!」なんてストレートに言われたら、「そんなことは、言われなくてもわかってるよ!!」と反発してしまうけれど、女の子が友達の目隠しをしているイラストに「酔っ払ったパパは、友達に絶対見せたくない」という台詞がついていたりすると、「んむむ…、俺も酔っ払った親父は嫌いだったなぁ」と、ちょっとお酒を控える気持ちになる。堅いメッセージをスーっと心に染み込ませる表現の工夫には、毎回感心させられる。繊細な感受性と優れた想像力がなければできない仕事だ。
 昨年12月に掲載されたモデレーション広告は、実に100回目を数える。酒類業界では、1986年にサントリーがはじめてモデレーションキャンペーンを開始し、約20年にわたって継続的に実施している。今年も読む人の心に残るメッセージを期待したい。

2005年01月06日掲載