日本の酒の輸出障壁

一貫して国内の消費量が伸びてきたせいであろう、日本の酒類企業は国際化する必要に迫られなかった。酒の国際化と言えばもっぱら日本に入ってくる外国の酒が、どのように普及するかということであった。ウイスキーやワインは洋酒メーカーやバーテンダーたちが必死の努力で定着させたのだ。最初はどう説明すればいいのかわからず膨大な試行錯誤がなされたはずだ。
ようやく最近、日本の酒類企業も海外での市場づくりに本気で取り組み始めた。ビール各社は中国に積極的に進出し、サントリーは上海でトップシェアをとった。アメリカや台湾では日本酒の高級酒がブレイクして、富裕層の注目度がぐんと高まっている。国内で絶好調の焼酎も、ハードリカーが低迷する海外に切り込んでいっている。
けれども相手国との酒類取引のルールが不備で、思わぬ障壁となっているケースが散見されている。たとえば、アメリカでは韓国産の焼酎がソフトリカーとして扱われているにもかかわらず、アルコールを添加した清酒はハードリカーの扱いとなって高い税率がかかる。台湾の関税率はワインが14%に過ぎないのに、清酒は40%だ。中国もビールは0%であるにもかかわらず、清酒は約54%である。
自由貿易の交渉の中で、日本の酒類を世界に広げるインフラづくりを、官民一体となって進める時なのである。
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2005年03月17日掲載