酒飲みの良識

秋田市で「酒飲み文化」が話題になっている。市の職員に酒気帯び運転で摘発された者が相次いだことから、佐竹敬久市長が「『酒飲み文化』の一番悪いところが出てきている」と発言、「夜10時以降は飲酒を控えるように訴えていく」と打ち出した。秋田県の日本酒メーカーたちは、「飲酒運転をすることが悪いのであって、飲酒や秋田の酒文化が悪いような言い方は心外」とこれに反発、市長に真意を問い内容によっては発言の撤回を要求するとエスカレートしているらしい。(『さきがけ on the WEB』04年12月7日)。
10月には、多量に飲酒する人の割合の引き下げがはかばかしく進んでいないという報道があった。政府が掲げる「健康日本21」が設定する目標値に近づくどころか、男性では目標策定時よりも大量に飲酒する人が増えていると言うのだ。だが、国内の酒類消費量は1995年頃をピークに減少に転じ、一方で少子高齢化の進行と女性飲酒率の高まりで飲酒人口は増えている。実感としても大量飲酒者が急増しているような印象はない。
秋田の話といい健康日本21の件といい、相当に部分的な問題であるにもかかわらず、あたかも全体が問題であるかのような捉え方をしているところが引っかかる。飲酒運転も過剰な飲酒もよくないことは大多数の人がわかっていて、上手くコントロールしているのだ。そうした認識のうえで飲酒を考えて欲しい。

2004年12月30日掲載