12月に入ると街はクリスマス一色に染まります。ショッピングモールには巨大なクリスマスツリーが飾られ、買い物客でにぎわいます。
国民の8割がキリスト教徒の南アフリカでは、家族で集まってご馳走を囲みキリスト教の習慣にならってクリスマスを祝います。ところが南半球に位置する南アフリカは夏まっさかり。家族団らんの様子は北半球とちょっと異なります。
南アフリカではクリスマスは1年間で最大のイベント。学校も休みに入り、この時期にまとめて休暇をとるのが地元の人々の習慣になっています。
休暇をとって向かう先は、ビーチ。海岸沿いのリゾート地はどこも予約でいっぱいです。ビーチでは照り付ける太陽のもと、「ブライ」を楽しむ家族連れの姿が目に付きます。ブライ(Braai)とは、バーベキューのことで、グリルを囲み肉や魚、野菜を焼きながらおしゃべりに興じます。南アフリカ人はブライが大好き。クリスマスに限らず、1年をとおして家の庭先や公園に集まり、ゆっくりと時間を過ごします。
ビジネスでクリスマスを祝う場合は、パーティが一般的です。ホテルやレストランを貸し切り、クリスマスディナーを食べながら交流します。または上司が家でブライパーティを開くということも珍しくありません。
ブライでもパーティでも欠かせないのがビールと地元産のワイン。ワインは人気のクリスマスギフトでもあります。この時期になるとワイナリーもクリスマスムードに染まります。
ワイナリーのホームページを開くと、クリスマスイベントで目白押しです。レストランを併設したワイナリーでは、クリスマスディナー、コンサート、ライト点灯式などが企画されています。ワイナリーの敷地内でのピクニックやハイキング、ジャズコンサートなどは夏のクリスマスならではです。
大手ワイナリー「Spier」(スピアー)は、敷地内でクリスマスフェスティバルを開催します。フェスティバルの入場料は大人が95ランド(約950円)、12歳以下の子供が55ランド(約550円)で、チケットの売上はエイズで親を失くした子供たちが生活する孤児院に寄付されます。最近ではスピアーのように企業の社会的責任に対して高い意識を持つワイナリーが増えています。
日本でも売られている「Nederburg」(ネダーバーグ)は、くじ付きのボトルで消費者の遊び心をくすぐります。当選賞金は、1等が500万円(2本)、2等が1万円(200本)、3等は1000円(1万本)と総額2000万円が用意されています。ボトルに書かれている番号を同社ホームページの専用の欄に記入すると、当選したかどうかがその場でわかります。
こうしたワイナリーのイベントは毎年恒例となっており、多くの家族にクリスマスのささやかな喜びをもたらしています。
(たかざきさわか:ヨハネスブルク在住)