樽生派は53%と瓶派は22%

 生ビールがおいしく感じるこの季節。ほとんどの料飲店で樽生ビールを飲むことができるようになってきている。ところが生ビールであれば、瓶入り、樽入りにかかわらず基本的に中身は同じである。こうなると、飲み方や好み、雰囲気の問題になるのであろうか?
 そこで今回は、ビールを飲食店で頼むときに樽生ビールと瓶生ビールが両方あったら、どちらを選ぶことが多いのか、その理由は何かをテーマにした。
 「あなたは樽生派ですか、瓶ビール派ですか?」と聞いたところ、「樽生のほうが好き」は53%で半数を超え、「瓶ビールのほうが好き」22%、「どちらともいえない」25%で、樽生派のほうが瓶ビール派の倍以上も多くなっている。
 性別では、樽生派は男女とも5割超で変わらないが、男性は瓶ビール派の割合が女性より多い。年代別でみると、20代は瓶ビール派がもっとも少なく、「どちらともいえない」が4割に達している。飲酒キャリアの低さからか、ビール離れなのか、こだわりのなさが感じられる。参考に、好きな酒類でビールを選んだかどうかで差があるかをみたところ、樽生派が若干多い(図表1)。
 樽生派が樽生ビールを選ぶ理由でもっとも多いのが「おいしい」で、「鮮度がよい」、「泡がよい」が続く(図表2)。
 「おいしい」の理由は人それぞれで、のど越しや風味の良さなどを感じている。

■樽生派の意見
●グイと飲むのがおいしい
「樽生は格別! あの泡からのゴクゴク感が最高。キンキンに冷えたグラスなら最高!」(女性30代)
「樽=工場直送というイメージがあり、より完成したての味に近い気がする」(男性50代)
●鮮度がより保たれているイメージ
 「鮮度がよい」では瓶より樽生のほうがよいというイメージが強い。
「瓶より、客足の多い飲食店の店舗の樽生のほうが鮮度がよいと感じられる。特に、特定の店舗でその傾向が強い。鮮度の高い樽生を仕入れる特別なルートがあるのでしょうか?」(男性50代)
「樽生のほうが鮮度が保たれていて、泡がクリーミーな感じがします」(女性50代)
「樽のほうが空気に触れる率が低そう」(男性60代以上)
●きめ細やかな泡がポイント
 「泡がよい」の意見では、きめ細やかな泡がおいしさの重要なポイントであり、注ぐ店の技術が左右していることなどをあげている。
「泡がはじめからよい具合に入っていて、見た目も冷たさもおいしさも違う感じがする」(女性40代)
「樽生のほうが泡がきめ細かく、なめらかな味わい。鮮度が保たれている感じがする」(男性60代)
「ビールのおいしさはビールそのものの味もあるが、泡が重要な決め手である。泡の最適な状態は、瓶よりも絶対に樽生である。もちろん最高の泡をつくり得るプロあってのことではあるが」(男性60代)
●瓶なら家でも飲める 店ならジョッキで
 樽生ビールのメリットとして、ジョッキでの乾杯、店で飲むという楽しみや、注ぎ合う必要がない気軽さをあげている。
「気分的せっかく飲みに出かけたならジョッキで飲みたい」(女性50代)
「いちいち注がれたりして周りに気を使わせない」(男性30代)
「あの重いジョッキを持って豪快に飲むのが、生ビールの醍醐味だと思う」(男性40代)
「やっぱりジョッキでぐびぐび飲むのはたまらないですね。特に夏場に冷凍庫で凍らせたジョッキで飲むと最高です」(男性30代)
■瓶ビール派の意見
●瓶ビールは味が濃い気がする
 一方、瓶ビール派が瓶ビールを好む理由でもトップは「おいしい」。以下「注ぎ合うのがよい」で、「自分のペースで飲める」、「グラスがよい」、「飲みなれている」が続く。
「味が濃い気がする。ちょっと贅沢な感じ」(男性30代)
「黒ビールなどの味の濃いビールが好きなので瓶ビール派です」(女性50代)
●注ぎ合うのは飲みニケーション
 「注ぎ合うのがよい」は樽生派による「注ぎ合う必要がない気軽さ」と相反している。飲むスタイルの違いが出ていておもしろい。瓶ビール派は注ぎ合うなかに触れ合いを感じ、飲みニケーションを好む。
「瓶だと常連のお客さんたちと注ぎあってワイワイ飲める」(男性30代)
「注ぐ、あるいは注がれるという行為に触れ合いが感じられる」(女性40代) 
●ビールはグラスでおいしく飲む
  「グラスがよい」はビールをおいしく飲むのはグラスというポリシーがあるようだ。
「薄くて小さなグラスで飲めるからです。ジョッキは重かったり、前歯にぶつけて折れそうになったりするから嫌いです」(女性30代)
「瓶は手酌でグラスで飲めるから」(男性40代)
「瓶からグラスに注ぐ行為がよい、そのときの音がたまらない」(男性50代)
 「瓶は注文してすぐ出てくる。生ビールは特に人数が多いと出てくるまで時間がかかる。すぐ飲みたいので、瓶がいいですね」(男性60代以上)等の意見も興味深い。
 生ビールであれば中身は同じといわれても、ジョッキに入っているのを飲むか、グラスに注いで飲むかによって雰囲気、味わいはガラリと変わる。演出的にはジョッキで飲む楽しさ、ビールをグラスに注ぐときの音など、どちらにもよい点がある。ただし、樽生ビールの場合は提供する店側の占める技術・管理などの責任範囲は大きい。      ■

2012年03月実施