経験者は9%だが、意向有は65%も

 節電モードの蒸し暑い夏がもうそこまで来ている。せめてドリンクは超冷えたものをと望んでしまう。そんなニーズを見越してなのか、今夏はキリンとアサヒが超冷たいビールで鎬を削っている。キリンは「一番搾りフローズン<生>」、アサヒは「スーパードライ エクストラコールド」で、いずれも専用サーバーを設置した特別な店だけでの展開+消費者キャンペーンの組み合わせだ。超冷ビールを提供する料飲店は7月初旬時点で全国に1200店ほどあり、両社のホームページで告知している。
 そこで今回は「スーパードライ・一番搾りの超冷ビールは飲まれましたか」と聞いてみた。「YES」が9%と、まだ実際に飲んだ人は少ない。しかし「NO(でも近いうちに飲みたい)」が65%で飲用意向が高い。「NO(特に飲みに行く予定はない)」は26%である(図表1)。
 性別で見ると、「YES」は男性がやや多く、若い人ほど飲用意向が高い(図表2)。
 超冷ビールをすでに飲みに行ったと回答した人は238名中22名であったが、彼らに感想や意見を聞いたところ、「すごくおいしい」と肯定的な意見を述べた人が12名いた。代表的な意見をあげてみよう。

超冷たいのはそれだけで魅力

「ビールはキンキンに冷えたのが一番おいしい。泡もクリ―ミ―で今まで以上においしく感じられた」(女性50代)
「まぁ一瞬だけですが、身体の芯まで『うまい!』と感じます」(男性60代以上)
「やっぱり暑い夏、今の季節に最高ですね!飲んだら、とてもうれしくなった」(男性40代)
 やはり冷たさは大きな魅力のようだ。

シャキシャキした泡に違和感

 一方、飲んではみたもののビール本来の味、泡との違和感や風味にマイナス点をつけた人もいる。
「球場で野球観戦のときに飲みました。泡が氷のようにシャリシャリしていて、食感は好きでしたが、のど越しなど味わいはあまり良くなかった」(女性20代)
「おいしかったけど、冷たくしすぎるとビール本来の風味が感じられない」(女性30代)
「最初は冷たくてよいが、最後に泡が残りすぎるような気がした。普通のきめ細かい泡のほうがビールを飲んでいるという気になる」(男性50代)
 また、冷えすぎるという意見も出ている。
「苦味が少なくなり、ビールが苦手な方でも飲めると思います。ただしゴクゴク飲むとかき氷を一気に食べた時のように頭がキーンとなった」(男性30代)
「暑い日だったので、一気に飲めたが、冷えすぎと感じた、一杯でけっこうです」(女性20代)

冷たいビールを長く味わえると期待

 超冷ビールを飲んだことはないが、近いうちに飲みたいと答えた人は超冷たいということへの関心が強い。具体的な意見は次のとおり。
「気になって仕方ないです。もともとシャーベットやフロートなどが好きなので超〜冷えで出されたら、いつもより多く飲んでしまいそうです。うちにもこのサーバー欲しい!」(女性30代)
「広島でも話題になっているので、暑い日に飲みに行きたい。長くゆっくりと冷たいビールが楽しめそうで良いなと思いました」(女性30代)
「アイスクリームを食べたときのようにズキンと頭に来るのか、すっきりするのか、一度は飲んでみたい」(女性30代)
「ぜひ飲んでみたいです。娘は飲み会で飲んでおいしかったと言っていた。インターネットに“自分で作れるフローズンビール”の作り方が載っていたので、そちらでも試してみます」(女性50代)
「気温が30度を超えると、超冷ビールのうまさが強烈に出てくるのではないか。ケニアのモンバサで『ビアバリディ(冷たいビール)』と頼むと、凍る一歩手前のビールを出してくれて、それがたいへんおいしかったことを思い出します」(男性50代)
「超冷という冷たさを味わってみたいです。最近は気候もおかしな状況ですので、仕事あがりにいっぱい飲みたい気分です」(男性60代以上)

普通のビールと比べたい

 前記のような意見がある一方、超冷だと味や風味を損なうのではないかなどの疑問をもちながら、それを確かめてみたいという意見もあげられている。
「超冷ビールは暑いときには冷たい感触が良いかもしれないが、味は舌が麻痺してわからないのでは?インディアンペールエールの好きな私は香りや旨みが感じられる温度が好きです。それでもまず飲んでみたい」(女性60代以上)
「苦味を感じないと聞きましたが、苦味はビールの醍醐味でもあると思います。苦味のないビールはどうなのか、興味津々です」(女性40代)
「還暦も過ぎると、がぶ飲みも尖った味も興味がなくなり、素材の持つ本当の味わいを求めるようになりました。超冷ビールは、ジョッキではなく、小さ目の一口サイズのコップで飲むと、おいしいかもしれません」(男性60代以上)

ビールほんらいの味が損なわれる気がする

 「特に飲みに行く予定はない」と答えた人のなかにも、機会があれば飲んでみたいという関心を寄せる人も目立つ。飲用意向を示さない人の理由は冷やしすぎて味を損なうとの懸念である。
「私は、酒は料理との相性で楽しむ主義なのですが、そのようなビールがどのような料理に合うのか想像もつきません。正直言って、料理に合うとは思いませんし、飲みたいとも思いません。なにごとも“適度”というものがあるような気がします」(男性50代)
「冷やしすぎると冷たいだけで味がわからなくなるので、特に飲みたいと思わない。それともこれらは超冷用に味が強いのでしょうか」(女性30代)  ■

2012年07月実施