好きと答えた人の半分は継続的に飲用

 ノンアルコールビールが着実に市場を拡大している。飲酒運転の罰則強化などで需要増が見込まれたことや、カロリーゼロなどの機能性付加価値を追求したメーカーの技術開発も進む。ビールメーカーはノンアルものも、発泡酒・新ジャンルと同様にビールの一種に位置づけた展開を進めている。そこで今回はノンアルコールビールの好き嫌いと飲用状況をきいてみた。
 「ノンアルコールビールはお好きですか」という質問に対して、「YES」三六%、「NO」六四%。これを過去一年の飲用状況とクロスさせると、「YES」の半数はすでに継続飲用者と判断できる(図表1)。

女性に多い継続飲用者

 好きかどうかを性別でみると「YES」は男性で二七%、女性は四八%と女性のほうが高い。年代別では若い年代ほど好きな人が多い(図表2)。
 過去一年での飲用経験では「YES」は七六%だが、「味見程度に数回飲んだことがある」が五五%で「継続的に飲んでいる」は二一%に過ぎない。また継続飲用者は女性では二七%と、男性(一六%)を一一ポイントも上回る。また、飲酒頻度との関係では週五日以上のヘビー層ほど飲用経験が多い(図表3)。
 ところで、弊社サイトのアンケート回答者はお酒に関心が高いヘビードリンカーの比率が高い。したがって、ノンアルビールドリンカーといっても酒類との併飲者がほとんどである。アルコールを全く飲まない人がノンアルコールビールをどのようにみているかはわからない。
 ノンアルビールは飲めない時の代替品という印象が強いが、飲み続けると「好き」になる人も多いようだ。今後もトライアルが進めば、市場はさらに拡大していくのではないか。

運転・健康・酔いたくないときが主な理由

 「ノンアルコールビールを飲もうと思うとき」の理由では、「車の運転があるとき」が約半数を占める(図表4)。飲みたいとき(飲まざるを得ない)の代替品としてノンアルコールビールである。その具体例が次のとおり。
「夕食時やお風呂上がりに飲んでいます。子供の送り迎え等で夜に運転という場面が日常的にあるので、ノンアルコールが主体となってきました」(女性四〇代)
「昼間の女子会のときや車の運転があるときのバーベキューパーティのとき、次の日が早いときです」(女性四〇代)
「自動車で出掛けた通夜や葬儀」(男性四〇代)
「車でゴルフに行った際の昼食時やプレイ中、プレイ後」(男性五〇代)
 その他、「週末はストレス解消のために主人と深酒するので、平日はノンアルコールビールと日本酒少々というのが最近の傾向です。健康に気を使うようになりました」(女性四〇代)、「週二日ある禁酒日」(女性三〇代)、「肝機能値が悪いとき」(男性四〇代)のような「休肝日・健康を考えて」や、「昼間の女子会や、飲まない人と一緒の食事会、しないといけないことが残っているけれども晩酌気分を楽しみたい時。お酒が苦手な人も同じものを飲むことができて盛り上がれますし、酔わないのでいつでも安心」(女性二〇代)、「週末のお昼や夏の暑い日の昼下がり」(女性四〇代)のように、昼間から酔っ払うのはちょっとという「昼間・ランチ」シーンも目につく。
 ノンアルコールビールに対する意見や感想も自由に記述してもらった。嫌いな人の意見は「味が薄く、コクもなく、ビールとは明らかに違う気がする。確かに車の運転のときなどは便利だとは思うが、私はそこまでしてビールを味わいたいとは思わない」(男性五〇代)、「おいしくなかったので無理に飲みたくない」(女性五〇代)等が代表的。
 一方「おいしい」という意見も三割あり、「昔に比べて味が改善された。アルコールを控えていた時に馴染みの居酒屋で飲んでいたが、周りの雰囲気も壊さずにすむ」(男性四〇代)と、以前に比べておいしくなっていると評価する声が多い。
 以下おいしい、重宝しているという継続ユーザーの意見を紹介する。
「アルコール〇%なのに酔った気分になれる。お酒は雰囲気と解りました。顔に出るタイプなので人に合う時や外出前などによい飲み物で、ケース買いして度々飲んでいます」(女性四〇代)
「はじめは、物足りない味だなと思いました。でも飲みなれてくるとおいしく、うまみも感じられるようになってきました。メーカーごとの味の違いも今はわかります。我が家は夕飯時にビールが定番になっているので、私だけ飲めないのはストレスでしたが、ノンアルビールの存在がストレスもなくしてくれています」(女性四〇代)
「品質も高まっているので、お酒のように楽しく味わうことができます。家事をしている主婦にとって、ママ友ともお酒感覚でいただける飲み物は本当に最高です」(女性三〇代)
「昼にアルコールを飲むと、その後だるくなったり眠くなったりするので困る。だからビールを飲んでほっとしたいと思うときはノンアルコールビールを飲む」(男性五〇代)
「ビールに比べて苦みが少なく、かえって飲みやすい。軽く飲みたい時には重宝しています」(女性二〇代)
「味うんぬんではなく雰囲気がよい。ジュースだと甘すぎるし、アルコールは飲めないときに最適です。よりビールに近いコクのあるものを販売してほしい」(女性四〇代)
「気軽にいつでも飲めてビールの味がするので、とても嬉しい。昼間に気兼ねなく飲めます」(女性三〇代)
「今授乳中なので飲んでいます。前から疲れているときは、酒を飲むと悪酔いしていたので、ノンアルコールビールを飲んでいました」(女性三〇代)
「やはり本来のビールのほうがおいしいと思いますが、アルコールを取れない状況の時には、場の雰囲気を崩すことなく対応出来るので、大変便利」(男性五〇代)
「痛風歴二〇年の主人は、休肝日用にノンアルビールを冷蔵庫に常備しています。そこまでして飲みたいのとあきれていますが」(女性五〇代)■

2012年01月実施