YESが四九%。男女差はほとんどない

 酒を飲む理由はたくさんあるが、私にとってはリラックス、コミュニケーションなどが中心である。だからほとんどの場合は、ほろ酔い程度で打ち止めとなる。一般的に人が酒を飲む理由のほとんどは喜怒哀楽と結びついている。そして、ほろ酔いの対極には泥酔まで進む「やけ酒」がある。いやなことを忘れるためや怒りや悲しみを紛らわすために飲むやけ酒は、酔うこと自体が目的だ。「やけ酒」は、昔から、小説やドラマの中では、リアルに描かれてきたが、最近はどうなのだろうか。
 「やけ酒を飲んだことはありますか?」という質問に対しては四九%が「YES」と答えている。年齢別にみると二〇代はまだ経験していない人も多く、六割が「NO」と答えているが、それ以上になるとあまり差はない。性別でみても男女差はほとんどないが、飲酒頻度の低い人はやけ酒体験率も低いようである(図表1)。
 次に、「やけ酒を飲むとしたら、どんな酒を飲むと思いますか」と尋ねたところ、トップは日本酒で五一%、以下ビール、焼酎、ウイスキーと続く。やはり、やけ酒というとイメージ的にも日本酒と思われがちであるが、これを裏付けている。
 性別に選ぶ酒の違いをみると、ウイスキー・焼酎といった蒸溜酒を飲むと答えた人は男性のほうが一〇%以上多くなっている。未体験者にはどんな飲み方をすると思うかを個別に聞いてみたが、ウイスキーをストレートという人はほとんど男性で、同じやけ酒でも飲み方は男性のほうがハードになりやすそうで、そのあたりには性差が見られる。
 それでは、みなさんの代表的なやけ酒シーンを紹介する。やけ酒をした理由は、失恋・仕事の悩み・人間関係の悩みがほとんどであった。細かく説明してくれた人はなぜか女性が多い。
■やけ酒体験談
仕事で嫌なことがあったとき、友人と時間や杯数を気にせず飲んだ。なんとなく気分がすっきりした(女性二〇代)
気分が晴れないときにやる。記憶がなくなるほどでなければ後悔もなく、気持ちも楽になる(女性二〇代)
失恋の時に梅酒ロックを一〇杯一気飲みしました。後で吐きました(男性二〇代)
イラついた時の気分転換として飲みますが、二日酔いになることが多い(男性二〇代)
母が死んだ時、失恋した時。結局想いが強くなるばかりで紛らわせたことは一度もない(女性三〇代)
子供のことでどうしようもなく落ち込んで、一人でユーチューブを見ながら、忘れるために飲んだ。翌日、二日酔いで気持ち悪かったけど、なんとなく冷静に考えられるようになれた(女性三〇代)
失恋した時や、大事な人を亡くした時など数回あり。一人で飲むのと余計に悲しさが増すので、誰かと一緒に飲むのが良い。やりきれなさに対する対症療法的には効くと思います(女性三〇代)
神経がささくれ立って自然回復が難しそうなとき。ちょうどよい感じに感情が麻痺して腹が立ったことがどうでもよくなります。ただ、悲しみは紛れません(女性三〇代)
仕事でのストレス発散なら同僚と居酒屋でビール。彼女とケンカの後はひとり部屋でビール数缶飲んで日本酒へ。たまに一升飲んでしまう時もあり、翌朝は二日酔いで死にそうです(男性三〇代)
どうしようも無く苦しい落胆を、解決しようが無いので泣きながら飲んだら眠くなって寝た。翌日にはなんとなくすっきりした(女性四〇代)
仕事と恋愛が同時にうまくいかなくなり、酔いつぶれてしまいたいと思った。小心者なので、金曜の夜に自分の部屋でいろいろな種類の酒を持ち込んで飲みました。もののみごとに二日酔い。もう二度とするまいと思いましたが、その後も数回やりました(女性四〇代)
仕事が全然うまくいかなく、現状から逃げたくなったとき気を紛らわすためによく飲みます。翌朝は強い二日酔いになり、二度と深酒はしないと心に誓っても、悩む夜を迎えると飲まずにはいられなくなり、またやってしまう(男性四〇代)
好きだった女性に告白しフラれた時に自宅で泣きながらよく飲みました。次の日には縁が無なかったのだと開き直れました(男性四〇代)
子育て真っ最中の頃、主人が帰ってこない時にいらいらして飲んだ。いらいらがますばかりで悲しくなった(女性五〇代)
五年付き合った彼に裏切られた時、一升瓶を抱えて飲み干した。結果的には一升半飲んだようだが何故か二日酔いにならなかった(女性五〇代)
■想像する自分のやけ酒シーン
 次は、まだやけ酒ということをしたことがない人に自分がやけ酒を飲むとしたらどうなるかを聞いてみた。自分が主人公のやけ酒は映画の一シーンのようです。
深夜自宅で一人つぶれるまでウイスキーを飲む(男性二〇代)
ひとりで自室にこもって日本酒を飲むと思います。夜にこっそりとね(女性三〇代)
馴染みのある小料理屋にて、仕事終わりの午後七時ごろから、日本酒で寂しく一人酒します(男性三〇代)
手の届く所に、必要な物を全て置いて、パソコンを開き、ラジオを流し、濃いめのウイスキーを、ひたすら飲み続けます(女性四〇代)
夜中にウイスキーをストレートで(男性四〇代)
ヤケ酒だったらひとり部屋で日本酒を飲みますね(男性四〇代)
会社にも行かず、自宅で一日中ひとりで、ウイスキーをロックでぐいぐいと(男性四〇代)
赤提灯のすこしさびれた感じの屋台で、端っこに座って日本酒を飲んでると思います(男性四〇代)
その時は家で一人でウイスキーをロックでがぶ飲みすると思います(女性五〇代)
バーのカウンターの隅で一人でウイスキーを飲む(男性五〇代)
独りぼっちで夜遅く、場末にある屋台の「おでんや」や「焼鳥屋」などへ行き、熱燗コップ酒を呷るように飲むかな(男性五〇代)
六二年の人生でやけ酒を飲んだ経験がないので想像もできないのですが、きれいなおばさんが一人でやっているカウンターだけの小料理屋さんで、自分一人だけで、静かに何時までもちびりちびり飲むかなぁ(男性六〇代) ■

2012年08月実施