自宅では缶ビールをグラスで飲む人は六割

 そのまま飲める・軽量でかさばらないということで、家庭用のビール類は、ほとんどが缶になっている。ビール以外にもチューハイ・カクテルなど缶に入った酒類飲料は増えるばかりだ。缶に入っていると形状的にそのまま口をつけて飲むことへの抵抗感は弱く、屋外での飲用シーンの拡大にも効果を発揮していることだろう。
 今年は、アサヒビールから飲み口を一・三倍大きくした新ジャンル「ダイレクトショット」も発売された。これもそのまま飲む人が多いとを考えての商品開発に違いない。確かにドラマや映画のシーンではプシュっと開けてそのまま飲む姿がよく描き出される。しかし、古い人間なのかもしれないが、私は自宅であれば必ずグラスに注いで飲んでいる。そこで、実際に自宅ではどれほどの人が缶のまま飲んでいるのかということが気になり今回のテーマとした。
 「家庭で缶ビール等は、グラスに注いで飲みますか」という質問に対して、全体では六二%がYESと答えた(図表1・2)。属性別にみると、そのまま飲む人が他よりも多いのは、三〇代〜四〇代であり、男女による違いは少なかった。飲用頻度別にみると飲酒頻度の低い人のほうがNOの比率が高い。
 そのまま飲む理由は、「面倒くさい」「洗い物がでなくてよい」がほとんどを占めているが、一部にはあえてそのまま飲むほうがおいしいという積極的な意見もあった。
 また日本酒やワインも含めて、酒器全般についてのこだわり状況を聞くと、こだわりを持つと答えた人では、グラスに注ぐ派が八四%にはねあがった。どちらともいえない、こだわりがないという人ではグラスに注ぐ派が三〇%台にまで下がる(図表3・4)。缶のまま飲む人は、面倒だからと答えているが、そもそも酒器の違いにこだわらない、酒の味は変わらないと考えている人が多いからなのであろう。
■泡・風味にこだわるYESの意見
ビールはグラスに注いでこそ真価を発揮する酒。缶で飲むより風味がわかる(男性二〇代)
グラスに注いだほうがグイグイ入ってきてのどごしがよい。グラスに注いだ方が間違いなくうまい。缶のままだとチープな感じがするので(女性二〇代)
はじめの一杯の泡立ち加減で、まずはぐいっと飲みたい。グラスも冷して飲みます(男性三〇代)
家でそのままで飲むのは行儀が悪いというイメージがある。それに中身の色なんかも見て楽しみたい。洗い物は増えますが、せっかくおいしいお酒ですから自分の好きなグラスでいただきたいです。透明なグラスだったらお酒の色や様子も楽しめる。家族も注いで飲む派です(女性三〇代)
缶で飲むと変な空気が入りおいしくないし、グラスに注いだほうが泡がたっておいしい。列車でもプラコップで飲みます(男性四〇代)
自宅で飲む際は九割がたグラスを使います。氷を入れたり、焼酎を足して飲んだりするから。(男性四〇代)
外食店と同じ重い中ジョッキでグィと飲むのがこだわりです。泡も味のひとつと考えております(女性四〇代)
少し前までは、缶ビールはそのまま飲んでいました。某ビール会社の見学ツアーで上手な注ぎ方を習ってからは、グラス派に転向しました。同じビールでも、やっぱり泡立や、香りが違います。ビールのおいしさの最大の決め手は、何と言っても「泡」です(男性五〇代)
泡こそがおいしくビールを飲むためのもっとも大事な要素です。だから、ビールはビンでも缶でも必ずきれいに洗って良く冷やしたグラスに静かに注いでから飲む(男性五〇代)
発泡酒や第三のビールは缶のまま飲むことが多いのですが ビールはグラスに注いで泡も楽しみます。グラスに注いだほうがおいしいと思います。缶カクテルもグラスに次いで綺麗な色を楽しみます(女性五〇代)
缶のまま飲むのはアウトドアのみ。やはり食卓上では器が大事。当然グラスで飲みます。ビールに合わせ、グラスを変化させるのも楽しみのひとつ(男性六〇歳以上)
■面倒をさけるNOの意見
洗い物をしたくないのと空けた瞬間にゴクゴクと飲みたいから(男性二〇代)
コップを洗うのが面倒臭い(女性二〇代)
デザインされている缶の雰囲気を見て、触って飲むと世界も変わったようで華やかな気持ちになれる。のどごしの良さを最大限に味わうには、そのまま飲むに限ります(男性三〇代)
自宅で飲む缶ビールのよさは、風呂上がりとかにプシュッとあけて間髪をいれずにゴクゴクと飲むところにある。この手軽さは瓶ビールでは味わえない。だからそのまま飲む方が好みです(男性三〇代)
缶から直接飲んだほうが、時間が経っても炭酸が抜けずにおいしく飲める。私だけかもしれませんが、少ない量でも酔えるような気がする(女性三〇代)
グラスをしまうことや洗い直すのが面倒です。でも来客時は、グラスを出して飲みます(男性四〇代)
缶ビールは手軽に飲めることに存在意義があると思います。後でグラスを洗う手間や、グラスに注いでもさほど味が変わらないといったことを考えるとそのまま飲みます。ただし、ベルギービールなど味わいのあるビールを飲む場合にはグラスに注ぎます(男性五〇代)
三五〇mlだと量も少ないのでそのまま缶で飲むが、五〇〇mlだとグラスに注いで飲む(女性五〇代)
よく、注ぐと味や香りが出るとか言いますが、グラス等の汚れ、温まりやすいことなどが気になって、むしろ本来の商品としての味が損なわれるのではと思います。生の素材を注入されたままの状態で味わいたい(男性六〇歳以上)       ■

2012年11月実施