家飲みが主流になったヌーボ

 昨年のボジョレーヌーボの日本輸入量は前年比15%増の61万箱になったそうである。日本は時差の関係で先進国の中ではもっとも早く解禁されるとあって、大いに盛り上がる。その年のぶどうの出来を楽しむ収穫祭の意味合いもあるから、ワイン通でなくても、新酒を味わって楽しむのもよくわかる。さて、2011年のボジョレーヌーボはどのように飲まれたのであろうか。
 「ボジョレーヌーボを飲みましたか」の問いに対して「YES」は59%で、そのうち41%は「飲んだのは1種類」である。当アンケートの回答者はお酒に関心が高い人が多いであろうが、全体の6割がボジョレーヌーボを飲んでいるのは、日本人の「初物」好きの表れであろうか。飲酒率に男女差はないが、複数の銘柄を飲んでいるのは女性に多い。一方、20代と50代は飲用率が1割ほど低くなっている。ワインヘビーユーザー(週2回以上飲用)は8割近くがボジョレーヌーボを飲み、その中の3割強は2種類以上飲んでいる(図表1・2)。
 ボジョレーヌーボの飲用場所は「自宅」が主流になってきており83%を占める。「レストラン・居酒屋などの飲食店」は19%である(図表3)。
 購入した銘柄を選んだ理由では「店で奨められたから」がもっとも多く、「他の銘柄より安かったから」、「信頼のおける銘柄だから」が続く。一般的にワインを買うときはどれがいいのか迷うことが多い。まして新酒であれば何を基準に選べばよいかわからず、店頭で奨められたものや手頃な価格のものを選ぶことになるのだろう。俄かワインユーザーを取り込む絶好のチャンスだから、店の推奨の巧拙が重要なのだろう(図表4)。

ヌーボを飲むのは準年中行事に

 「あなたがボジョレーヌーボを飲む理由や飲まれての感想をお聞かせください」と質問し、自由に記述してもらったところ、「毎年恒例・イベント」を意味する回答が4割弱であった。それに類した「季節もの」、「新酒」も目立つ。また「おいしい」、「飲みやすい」という味に関する答えも一定量あがっている。具体的な意見を紹介しよう。
毎年恒例のイベントで定着している
「絶対的な旨さは求めておらず、一種のイベントや縁起物という捉え方をしている。フレッシュな爽やかさは嬉しいところ」(男性20代)
「毎年の恒例行事になっていて、楽しみにしているし、他の飲んだ人と感想を言い合うのが楽しい。今年はまずまずだったかなあと思いますが、赤ワインでも軽くて飲みやすいワインです」(女性30代)
「新酒はさわやかでさっぱりしているから大好きです。ボジョレー解禁というイベントにかこつけて飲む! という感じです」(女性40代)
「毎年変わる味の変化を楽しんでいます。今年の出来はどうなのだろうといつもわくわくしながら飲んでいます。寝かせたものと違って味にコクはあまり感じませんが、新鮮さがわかるのでいつも解禁になると飲んでいます」(女性40代)
「1年に1回のイベントですので毎年購入しています。お店の方のお奨めのワインを購入していますが、毎年、味・香はスッキリ・サッパリという感想です」(女性60代以上)
「イベント的なものですね。本格的なものとはやはり差があります」(男性60代以上)
 年に1回のイベントだから楽しみましょう、新酒だからコクとか難しいことは言わない……等々、おおらかな声が聞こえてくるようだ。酒好きの明るさか、新しもの好きか、みんながやるからやるという自立性の無さか、日本人らしさが垣間見えるのは意地悪な見方だろうか。
おいしい・飲みやすい
「ワインは、香りと渋みが好きです。ボジョレーは、香りがとても良いので大好きです! 今年飲んだボジョレーも最高でした」(女性30代)
「毎年、ボジョレーは飲んでいるけど今年はどうだろう? と思い、飲みました。今まで飲んだボジョレーの中で一番おいしいと思った」(男性30代)
「ワインが好き。どんな味かわくわくする。今年はワンコインのワインを飲んだ。ペットボトルだったけど結構いけると思った」(男性60代以上)
「縁起物のような感覚で買ってみました。飲みやすくておいしかったです」(女性30代)
「クセが無く飲みやすく、値段も手ごろだから」(男性20代)
季節の旬のもの・新酒
「季節の風物詩として、あれば飲むという感じ」(女性40代)
「季節になるとお店の方に紹介されるため購入してしまう。毎年1回しか購入しない。飲みたくなる時期がこの時期なので」(男性50代)
「今年もボジョレーの季節になったなあと季節感を感じるから。今年のボジョレーもおいしかったですよ」(男性60代以上)
「ワインが好きで、新酒は楽しみにしています」(女性30代)
「ワインの新酒の中ではボジョレーヌーボがもっともポピュラーなので毎年買っています。今後はボジョレー以外の地域の新酒にも広げていこうと思っています」(男性50代)
 2011年もボジョレーヌーボは概ね好評である。円高の影響か値段も安く、ペットボトルのワインも増えて、話題性も豊富だったようだ。次シーズンはどうなるであろうか。            ■

2011年12月実施