酒気帯び運転に関わった人は22%

 「飲んだら乗るな!乗るなら飲むな!」という標語を聞いて久しいが、相変らず飲酒運転の事故はなくならない。2002年に法改正で厳罰化が進み、飲酒運転による交通事故の検挙数などは大幅に減少したものの、根絶にはほど遠く、まだ新聞紙上をにぎわすことが多い。
 今回は酒気帯び運転の経験などを聞き、飲酒運転防止策の意見などもあげてもらった。
 「今年、酒気帯び運転をしたこと、もしくは同乗したことはありますか?」という問に対して、「YES(自分で酒気帯び運転をしたことがある)」「YES(酒気帯び運転に同乗したことがある)」が合計が8%であった。また、「NO(でも他人が酒気帯び運転をするのはみたことがある)」が14%ほどあり、まったく関わっていない人は8割弱であった(図表1)。答えにくい質問の性格上、実際はもう少し高いのではないかと想像する。

想定行動での酒気帯びが半数に上る

 次に、「YES」と答えた人に「飲み始める前から酒気帯び運転になる予感はありましたか?」と聞くと、半数は「YES」で確信犯であった(図表2)。
 酒気帯び運転(または同乗)したときの経緯は「少量しか飲まないので」、「やむを得ず」といった理由が大半である。
「グラス一杯のビールだし、自宅まで5〜6分程度だったので、つい運転してしまった」(女性50代)
「最初は飲まないつもりだったが、飲み会の雰囲気に流されて飲んでしまった。ビール3杯だったので大丈夫だと思った。代行料金がもったいなかったこともある」(男性30代)
「運転した友人は飲まないと言っていたのですが、いつの間にか1杯飲んでました。お酒は強い人だったので大丈夫かなあと同乗しました。終電が終わっていたこともあります」(女性20代)
「職場の上司からの誘いだったので、飲み会も、その後の飲酒運転も断れなかった」(女性40代)
「家で飲み会をしていたのですが、遅れてくる友人から場所がわからないと連絡があり、缶ビール2本飲んでましたが、近くまで車で迎えに行きました」(女性30代)
「仕事帰りに車でバーに寄りお酒を飲んでいました。運転代行をお願いするつもりでした。しかし母から叔父が危篤というメールが届いたため、遠くの病院へ行くことになり、病院までの運転代行料金、またはタクシー料金が所持金では間に合わず、飲酒運転してタクシーと追突事故。幸い双方とも怪我はありませんでした」(男性30代)
「飲酒後に睡眠をとったので、大丈夫だと判断した」(男性50代)
 少しでも飲んだら乗らないという強い意識が本人も周りも必要であるのだが、酔いに対して意外と甘くなっているのがわかる。

撲滅するには更なる厳罰化か

 では酒気帯び運転をなくすためにはどうしたらよいと思うのか、意見を聞いた。回答の意見を整理すると「罰則の強化」、「個人意識の強化」、「アルコール検知システムの開発」、「取り締まり強化」が上位を占める(図表3)。
罰則の強化
「酒気帯び運転に対する世の中の雰囲気が寛容過ぎると思います。もっともっと罰則を厳しくし、酒気帯び運転の恐ろしさを訴えるべきだと思います。社会人生活も棒に振るのだ、と自覚させなければならない」(男性40代)
「運転免許の失効及び再取得の不許可。1000万円以上の高額罰金などの厳罰化。罰金は国庫に入れず、交通事故被害者への救済に活用する」(男性50代)
「飲酒運転は車と言う凶器を無差別に振り回しているものである。飲酒運転=殺人未遂、飲酒運転による死亡事故=殺人とするしかない」(男性40代)
「一発で免許取り消し。かつ5年間くらいの再取得停止。罰金も100万くらいにしてプレッシャーをかける。2回目や、無免許時は即収監」(男性50代)
個人意識の強化
「これは本人のモラルに頼るしかない。会社の管理職の中にはモラルがない人がいるので、若い社員などは従わざるを得ない状況もあります。しかし、はっきりとNOと言う事が必要です」(男性40代)
「本人の自覚しだい。予定外で飲酒をしてもホテルや代行運転やタクシーがあるので、それを利用するのが当たり前。できない人は飲むな」(男性60代)
「自分の家族が、そして親戚までもが不幸になるのだと自分に言い聞かせる。自分の子供がそういう事故に遭った時のことを考える」(女性40代)
アルコール検知システムの開発
「車にアルコール検知器を標準搭載し、基準値以下じゃないとエンジンがスタートしないようにする」(男性20代)
「アルコールに敏感に反応して警報がけたたましく鳴る機器を開発して車に必ず設置しなければならないようにしたり、アルコールに反応してエンジンがかからなくなる車をつくるとよい」(男性60代)
取り締まり強化
「取り締まりをもっと厳しくすればよい。事故を起こすよりも、捕まったほうが本人のためにはよいと思う」(女性50代)
「徹底した非公式の検問の実施。公表しての検問も抑止力にはなりますが、やはりいちど捕まってみないとわからない人もいますので」(男性30代)
 その他、「酒席には車で出かけない」、「周囲の人が注意する」、「日頃や小さいときからの啓蒙活動が大事」、「料飲店で車のキー預かりをして飲酒者には返さないなど、管理する」、「運転代行料金の引き下げ」などの意見もあげられている。      ■

2011年11月実施