面白い統計を手に入れた。世帯年収別に、米国の消費者が、スーパーマーケットで最も頻繁に購入している商品の上位10位までのカテゴリーをまとめたものだ。
年収は、��3万ドルまで、��3万ドルから5万ドル、��5万ドルから10万ドル、そして��10万ドルから上、の4つに分けられている。ちなみに米国では、年収10万ドル（約1,100万円）以上稼いでいる人々を、「六ケタ層」と呼び、勝ち組とみなす傾向がある。日本と比べると意外と低いと思われがちだが、医者や弁護士でも、専門分野によっては、年収が六ケタに届いていない人も大勢いる。もちろん、ウォールストリート界隈では、大学の新卒者が、何億円もの法外なボーナスをもらっていたりするが、一般的な人々にとって六ケタは、いまなお“アメリカン・ドリーム”である。
話を本題に戻そう。この統計で注目すべき点は、�い力札吋神ぢ咾里Δ繊◆屮錺ぅ鵝廚鮃愼�している家庭が、ほぼ4割に達しているということだ。なんと米国の高収入世帯の5軒に2軒が、ワインを買っていることになる。ちなみに、�い凌裕ぅ�テゴリーの第2位は、「スピリッツ」で、29.5％の高収入層が、「スピリッツ」を買っている。
あ、やっぱりスピリッツも買っているんだ、と納得された業界関係者の方々も少なくないと思うが、誤解のないよう敢えて説明させていただくと、人気カテゴリーのトップツーをアルコール飲料が占めたということは、米国の高収入層が、如何に頻繁に自宅で酒を嗜んでいるかを表している。その証拠に、この層で「青果」を買っているのは、わずか4軒に1軒（26.5％）に過ぎない。かたや、収入の低い�，筬△寮ぢ咾任蓮�当然ながら、酒より「青果」や「ヨーグルト」を、より頻繁に購入している。端的に言うと、スーパーで野菜や肉を買うよりも、ワインやスピリッツを買うことが多いというのが、六ケタ層のライフスタイルと言っても言いすぎではない。
同じ調査会社（ニールセン）から、酒にまつわるもうひとつのデータが発表になった。今年の5月、500人のバー経営者やバーテンダーを対象に実施したアンケート調査をまとめたもので、昨今の金融不安、インフレの影響が色濃く現れている。具体的な数字を挙げると、「最近客足が遠のいている」と答えたバー関係者が、全体の40％以上に昇った。「ドリンクの注文数が減っている」と答えたのは25％、「高いドリンクをオーダーする客が減っている」と答えた関係者は22％に昇った。
これまで酒は、景気後退に強いカテゴリーだと言われてきた。経済不振時に、外食の回数が減ることはあっても、バーへの来店頻度や注文数が減ることはなかった。が、どうも今回のリセッション（景気後退）は、これまでと少しパターンが違うようだ。
小売店での酒の売上高が、どの程度上がっているのか、はたまた下がっているのか、まだ数字が出ていないので何とも言えないが、六ケタ層に関しては、今後自宅で飲む機会が益々増え、より求めやすい価格のワインにトレードダウンするだろうと予測されている。ビールの復権も期待できるだろう。上述の調査によると、バー関係者の半数近くが、「最も売れているのはビール」と答え、「スピリッツが売れている」と答えたのは40％、「ワイン」と答えたのはわずか11％しかいなかった。
（たんのあけみ：ニューヨーク在住）
