魅力溢れる2010年サッカーW杯開催国

 日本から飛行機で約17時間。アフリカ大陸の最南端に位置する南アフリカ共和国は、豊富な資源と2010年のサッカーW杯開催地として注目を集めています。面積は日本のおよそ3倍、人口は約4,785万人です。空港から車を走らせると訪問者の多くは「まるでヨーロッパのようだ!」と、整備された高速道路や建物をみて驚きの声をあげます。キリンや象が駆け回るサバンナの様子をイメージされてきた方は、なおさら驚きが大きいようです。
 南アフリカの経済規模は他のアフリカ諸国を引き離しており、サハラ砂漠以南47カ国全体のGDPの3分の1を占めます。近年の資源ブームを背景に、ここ数年は5%台の経済成長を記録し、消費が急拡大しました。街中では高級車がみられ、高層ビルや高級ブティックが入ったモールなどが立ち並んでいます。さらに景気を刺激しているのがW杯開催に向けた建設ラッシュ。空港、ホテル、高速鉄道、スタジアムなどの建設が急ピッチで進められています。
 駐在して1年が過ぎましたが、これまで最も多く聞かれた質問は、「2010年W杯は本当に南アフリカで開催できるの?」ということです。アフリカ大陸初の開催国として、運営手腕が注目されています。
 2008年に入ってからの電力不足、外国人襲撃事件、さらには1986年大会の開催地が治安と国内情勢の悪化を理由に当初予定していたコロンビアからメキシコに変更された例もあり、開催を疑問視する声も多く聞かれるのは確かです。
 けれどもW杯開催まであと2年。昨年11月には予選の組み合わせ抽選が行われ、街でも公式グッズを見かけるなど、開催ムードは高まっています。
 また、地元のアンケート調査では、「W杯の開催準備は間に合うか」との問いに対して71%が「Yes!」と開催に自信を示しています。
 南アフリカは日本から見ると世界の果てですが、魅力的でとても奥深い国です。様々な人種が入り混じっているのが「虹の国」と呼ばれる由縁です。それゆえ食べ物や文化などで独特の世界をつくりだしています。11の公用語があり、人種の割合は黒人が79.6%、白人9.1%、カラード(混血)8.9%、アジア系2.5%となっています。    
 お酒も多種多様です。1895年に南アフリカで設立され、ロンドン市場を拠点に積極的に世界展開を図るSABミラーの前身「サウス・アフリカン・ブリューワリー」のビール、地中海性気候を生かし南アフリカ固有品種「ピノタージュ」から造られるワイン、動物が食べると酔っ払ってしまうというアフリカ原産のフルーツ「マルーラ」から造られるリキュール、先祖へのお供え物として欠かせないトウモロコシを原料とした伝統ビール(「ンコンボティ」)などなど。飽きることのない南アフリカの横顔を、お酒を通して紹介していきます。
(たかざきさわか:ヨハネスブルグ在住)

月刊 酒文化2008年08月号掲載