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日本と海外の酒めぐり
ほろ酔い紀行
常夏のハワイで日本酒コンクール  
 ホノルルで開催される日本酒のコンクール「全米日本酒歓評会−ジョイ・オブ・サケ」。原則としてアメリカで入手できる清酒を対象に、日米の審査員により官能テストで優れた酒を選ぶ。一昨年からはサンフランシスコとニューヨークでも開催され大人気。今回はこのイベントが開催されるようになるまでの経緯をたどってみよう。

ポリネシアの「酒を持たない」文化
photo ハワイ島コナに、カナカ・カヴァというカヴァ専門のバーがある。カヴァといってもスペイン産のスパークリングワインではない。日本には最初、誤ってポリネシアの「酒」と紹介された飲み物で、カヴァという胡椒科の植物の根を干して粉にして水に溶かしたもの。アルコールはないが、飲むと頭は冴えて身体はだるくなるという。数人の男が集まってカヴァを飲んでいる風景は、酒を飲んでいるのにそっくり。ネイティブ・ハワイアンたちはさまざまな儀式でカヴァを用いる。実際に自分で飲んでみなければ、酒だと勘違いするのも無理はない。
 味は青臭いが飲めないことはない。仁丹のような、唇や舌がしびれるような感じがあるが、朝鮮人参やウコンなど漢方薬系の味が苦手でなければ、苦にはならないだろう。
  ハワイに人が渡ったのは4世紀〜8世紀ごろ、サモア諸島やトンガなどの西ポリネシアから大型のカヌーで渡ってきたとされる。ポリネシアは酒を持たない文化で、おそらくハワイに酒が本格的に入ったのは、1778年のジェームス・クック来島以降のことだ。

サトウキビ産業とハワイアン・ラム
 西ポリネシアからハワイにもたらされたものに、サトウキビがある。サトウキビはイネ科の多年生植物で、原産地はニューギニアともインドとも言われ、ハワイではそのまま食用にされていた。
 それが1835年に白人によって輸出作物として本格的に栽培され始め、19世紀後半にはハワイはサトウキビの島として世界に知られるようになった。
 サトウキビ産業が基幹産業になってハワイ産の酒が生まれた。砂糖の精製の副産物である廃糖蜜からつくるハワイアン・ラムだ。白人たちは酒造技術を伝え、自分たちが飲む酒を現地で調達しやすい原材料から得ようとする。おそらくハワイ固有の酒であるオコレハオも、誕生の経緯は同じようなものであろう。この酒はネイティブ・ハワイアンにとって精神的に特別な植物であるティの根と、主食のタロ芋を原料につくった蒸溜酒もしくはリキュール。砂糖産業の衰退とともに消えていったハワイアン・ラムと同じく、オコレハオもすでに製造されていない。
写真提供『週刊新潮』/撮影 本田武士

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