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日本と海外の酒めぐり
ほろ酔い紀行中国北京
中国の居酒屋で考える  
4年後のオリンピックをひかえる中国.北京やその東北の瀋陽の日本酒事情を視察した。日本人の比較的多い南の上海に比べると和食店こそ少ないものの、健康食・長寿食として注目される和食店は徐々に増える傾向であり、それとともに日本酒がクローズアップされよう。以下はそこでの最新情報である。

日本人客が半分の店
photo 北京の北京駅に近いところにホテルニューオータニがあり、そのちょうど真裏にあたるところに暖簾に「日本料理」と染めぬいてある「菊水亭」という居酒屋がある。
「うちの店は安くて旨いでっせぇ」
 と大阪弁丸出しの中国人の店主は、大阪にしばらく住んでいたことがあるともいった。
 わが国の居酒屋と同じ雰囲気で100ばかりの客席の他に座敷が2つある。店主によれば、日本人を含む外国人と中国人の比率は半々だとか。その日本人の大半はそばのホテルの宿泊客のようだ。
 従業員の中国人はすべて和服だが、日本語の通じる人はあまりいない。それでもメニューを指してのオーダーで十分だ。
photo 地元である北京産の松竹梅や瀋陽産の大関、天津産の朝香などが275mlで35元(525円)となっている。ちなみにラベルが見たいといったら、持ってきた朝香の一升瓶のラベルに生産が02.12.10の日付があり、02.12.20にボトルキープしてサインしたまま3分の1ほど残った酒で老ねていた。おそらく日本から出張で来て、そのまま飲み残したのを置いておいたのだろうが……。
 この店ばかりでなく、北京で他に行った店でも、瀋陽での日本料理の居酒屋でも、冷酒がある一方では「熱燗」の表示もメニューには決まって付いている。これはどうも、かつての日本軍の進攻時代からの名残らしい。
 ビールはアサヒ、キリン、サッポロなどの630mlが13元(195円)でエビスは20元(350円)、酒の肴の手頃なところでは枝豆、ナメコ、ヤマイモのたんざく切り、キムチなどが10元(150円)と安く、味もまずますだった。

好評に迎えられる日本人による中国産日本酒
photo 宝酒造がここ北京で日本酒を造りはじめたのは6年前からで、日本酒の松竹梅の他に、焼酎・よかいちや味醂など多彩に売り出している。日本酒は3000石で、中国での現地産では量的に最も多い。
 なにしろ1800年代の中国には日本酒はほとんど少なかった。それが1992年のケ小平の融和政策以来、日本からの企業進出が目立ちはじめた。日本酒の現地生産では宝酒造がいちばん早かっただけに、量的にも多いわけだ。
 現在わが国から進出している企業には、中国での人件費の安いところに目をつけて、製品を日本へ送っているところが多いが、この宝酒造にしても瀋陽の大関にしても、現地産は現地で捌き、むしろ中国の人たちを積極的に企業の中枢に入れようとしている姿勢がみえて、歓迎されているのである。
photo 北京では他にも「松子」という居酒屋をのぞいた。こちらの店は「菊水亭」よりもやや高めながらメニューは豊富で、和服の女性従業員の中には日本人も混じっていた。燗酒は一升瓶を逆さにする機種で、ここではメインに大関を使っていた。
 ツアーの同行者で、やはり日本料理の「三橋」という店へ行った人の話では、久保田・百寿の一升瓶が180元(2700円)、千寿220元(3300円)で置いてあったとか。「松子」にしても「三橋」にしても、日本人客は「菊水亭」ほどに多くはなくせいぜい2割前後だろう。
 ここ北京でのこのような日本料理店は近郊も含めると200軒近くある。
 北京から南の上海までは1200qほどもあり、トラックの特急便でも丸一昼夜はかかる。むろん、松竹梅や大関などはそちらへも酒を出しているが、上海は北京よりも日本人がはるかに多く1万人以上いると見られているから、日本料理店も近郊を含めると500軒以上あるのではないだろうか。
 したがって、灘や伏見の主要銘柄をはじめとして日本からの酒も多く入っている。ただ、その多くは並行輸入である。専任の駐在員を置いているのは、名古屋のねのひくらいだったが、5月からは大分のいいちこなども駐在員を置くようになった。

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