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酒で巡る韓国の旅
酒で巡る韓国の旅  
 焼肉とキムチそして焼酒のイメージが強い韓国。少し詳しい人はエイの刺身やさまざまな塩辛、マッコルリや爆弾酒を思い浮かべるかもしれません。韓国では甲類焼酎とビールが酒の消費の大半を占めますが、最近は細々と伝えられてきた伝統的な民俗酒が注目されています。今回は韓国に伝統民俗酒を訪ねてみましょう。

韓国の酒はヌルッから
  東アジアの酒づくりは、穀物のでんぷんを糖分に変えるためにカビを利用するところに特徴があります。日本では清酒や本格焼酎で蒸した米に麹菌(カビ)を繁殖させます。中国では麦や米の麹をつくり、黄酒(醸造酒)や白酒(蒸溜酒)をつくります。ただ、日本では穀物の粒まわりに麹菌をつけますが(散麹(ばらこうじ))、中国では型に押し固めるなどした塊で麹菌をつける方法をとる(餅麹)という違いが見られます。そして麹菌の種類も異なっています。
 韓国では散麹と餅麹の両方を見ることができます。もっともよく見かけたのは麩(ふすま)を円盤状に押し固めたような麦の餅麹で、ヌルッと呼ばれています。ソウル市内にある京東市場は漢方薬の店が集中しているところですが、ここにある穀物店にはどの店にもヌルッが並んでいました(図表1)。米や麦の籾殻のような色合いで、直径三〇p〜四〇p、厚さ五p〜七pほどの大きさ。中心部が凹んでいるのは、中までしっかり乾くようにするためだそうです。
 慶尚北道の安東(アンドン)焼酎を訪ねると、実際にヌルッづくりを見せていただくことができました(図表2・3)。粗く引いた小麦と小麦の麩に水を加えてよく混ぜ合わせます。適度な硬さを得たところで、布に包んで型に押し込みます。さらに上から足踏みして中の空気を追い出し、布から取り出して藁の上に置いて二週間前後乾燥させるというものでした。日本では麹をつくるのに穀物を加熱しますが、安東焼酎で見た麹は一切加熱せず、生のままで麹菌を繁殖させていました。
 酒づくりではヌルッを粗く砕いて、蒸したり茹でた原料に混ぜ、水を加えて醗酵させます(図表4)。この手順は、今回訪ねた伝統的などの焼酒にも共通していました。

写真提供『週刊新潮』/撮影 西村 純

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