■酒工場に遊びに行こう

 前回、60代の方が買いたがっているもののトップが国内旅行だと書いたが、どうも60代に限ったことではないらしい。「今後、積極的にお金を使いたい分野は」と聞いたところ、半分弱の方が「旅行」と回答し、3年前よりも大幅に増えているというのだ。いま、巷には「どこか行こうよ」という気分が溢れていることの証だろう。
 ところで、国内の酒類消費量は完全に頭打ちで、10年間で市場規模は2割も減った。そのため海外に大きな市場がない清酒や、海外での競争力が十分養われていないビールやワインが、かなり厳しい競争を強いられてきた。
 ここから脱却するために、酒類企業は観光産業化を進めるといいと思っている。小規模なメーカーなら、高品質商品を製造ながら直営のレストランやショップの売上で、採算をとることはできないことではない。ワイナリーには、そうしたところがいくつもある。大規模なメーカーは、工場見学やゲストハウスを充実させて、消費者と密度の濃いやり取りをする。それが信頼を生み育て、熱心なファンをつくっていく。
 一般の人が酒造工場に気軽に出入りできるようにするのである。スーパー銭湯にでも行くような半日レジャーの気分で、おいしい酒とふだんとちょっと違う楽しさを体験する。毎日、旅行に行きたい気分の今、酒類企業の観光産業化は必須なのだ。

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2004年05月13日掲載