■産地ブランド化と地元消費

 魚沼の米、関鯖、近江牛と産地をブランド化した農林水産物がどんどん増えている。海外から安い品がどんどん入ってくるから、高級品にシフトしなければ日本の農林水産業は成り立たないというわけだ。
同じことが酒にもある。典型はワイン。世界各地にたくさんの産地やワイナリーがあるなかで、産地のブランド化を狙って、上級ワインに生産を特化していこうという動き盛んになる。見事に格付けされたフランスワインの体系がそうした動きに拍車をかける。
 今、芋焼酎が大ブーム。旧薩摩藩(鹿児島と宮崎の南部)で庶民の酒として独自の酒文化を形づくってきた酒だ。原料芋の調達ももっぱら地域内で、生産から消費までが地域内で完結している。
 そんな芋焼酎に、地域内完結を堅持して産地ブランド化を進めようという動きが出ている。薩摩の芋焼酎の価値を高めることであり、世界的な視野からもおおいに結構なことだ。一抹の不安は、安価な庶民の酒であるためには、将来、輸入原料が必要になる時期が来るかもしれないという点だ。産地ブランドの高級品は地域外の人が飲み、地元では輸入原料の安価な商品が飲まれるという構造になりかねない。
 もっともブランド化した米や魚も、ほとんど地域外の人が消費しているのだろう。地域経済の活性化と地産地消のギャップは埋めきれないのかもしれない。

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2004年05月20日掲載