■外国人観光客を酒造工場に

 昨夏、観光立国戦略が打ち出された。日本から海外に出かける人は1652万人(2002年)と東京都の人口よりも多いにもかかわらず、日本を訪れた外国人観光客は500万人強とその3分の1にも満たない。観光立国戦略は、それを2010年までに1000万人に倍増させようというものだ。
 その方向性を議論した観光立国懇談会の議事録に、「大事なのは、日本を訪れたくなるような魅力的な中身、その魅力を上手に伝える工夫、文化の違う国を訪れた人々が快適に過ごせる観光基盤整備だ」という発言があった。まったく同感である。これをきちんとしなければ観光立国なんて無理、1000万人なんて絶対に呼べない。
 そして、日本各地にある酒造工場はとても上質な観光資源で、これを活用して観光立国と日本の酒の国際化を推進しない手はないと思った。今では少なくなった、巨木の柱と梁をめぐらせた古い酒蔵が全国に散らばっている。そこで飲む酒は格別にうまい。最新鋭の工場もトヨタやソニーだけではなくて、大手メーカーのビール工場を見て欲しい。その衛生管理と環境への配慮の徹底ぶりは特筆できるし、なんと言ってもできたてのビールがただで飲める。ウイスキーの蒸溜所は、一箇所でさまざまなタイプの上質なモルトウイスキーをつくる、他に例のないものだ。
 スコットランドのいくつかのウイスキー蒸溜所には日本語のパンフレットがあった。日本の酒造工場もこの機に外国人観光客の誘致を進めるすべきではないだろうか。

salaryJan20040102.gif

2004年01月15日掲載