■酒がテーマのユースホステル

 ユースホステルはとにかく堅苦しいというイメージがあって、「酒が飲めないんじゃナア」とまったく近づかなかった。ところが、昨夏、高知に酒をテーマにしたユースホステルができた。地元で銘酒専門店を営む鬼田吉明さんからの確かな情報だ。
 さすがは酒の一人あたり消費量が実質トップの高知県(酒の一人あたり消費量は、巨大な飲食店市場を抱える大都市が上位にくるが、他県の人が東京や大阪で飲んでいるというだけ)。これは見ておかねばならぬと、さっそく出かけた。
 目指したユースは、その名も「ユースホステル高知 酒の国共和国」(tel088-823-0858 ホームページ有)。ご主人の近藤富夫さんはもともと清酒メーカーの技術者で、アメリカの清酒工場にも赴任した国際派。現在も高知県の清酒メーカーのアドバイザーをつとめる。
 自然のままの木材をふんだんに使った落ち着いた部屋(個室もある)と、奥様の手料理はなかなかのもの。しかもご主人が厳選した高知の酒が格安で楽しめる。きき酒体験教室を常時開いているほか、酒づくり体験や酒器づくりワークショップなどのイベントも盛りだくさん。もちろん見学できる蔵元も紹介してくれる。
 国際組織であるユースホステルは外国人の利用者も多いそうで、「このあいだもスイス人の旅行者が日本酒をえらく気に入って、何本もお土産に買っていきました」と近藤さん。酒の国際化には、こういう草の根の酒啓蒙活動が大事なんだとあらためて思ったのである。

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2004年01月22日掲載