焼酎と日本酒のコラボレーション

このところの焼酎ブームを受けて、小規模な日本酒専業メーカーにも焼酎の製造に乗り出すところが急増している。昨年、焼酎は、およそ半世紀ぶりに日本酒の消費量を上回った。彼らは、これを一時的なものではなく、長期的なトレンドである可能性が高いと捉えているのであろう。
前回、焼酎が日本酒を上回ったのは、戦後の食糧不足による酒飢饉の影響であった。米を原料とする日本酒は、食料の確保を優先するために製造量が厳しく制限された。一方で米を原料としない焼酎は、安価な大衆酒として広く飲まれる。その後、食糧供給が安定し経済が成長軌道に乗ると、消費者の支持は日本酒に向く。焼酎は「安酒」のレッテルを貼られ、一九七〇年代の一〇年間は苦難の道を歩む。
状況が変わったのは一九八〇年前半。焼酎&チューハイブームが全国に波及し、焼酎は若年層のユーザーの獲得に成功し、以来、ほぼ一貫して消費量は増加する。反対に日本酒は一九七〇年代後半をピークに、三〇年近く減り続けてきた。
コラボレーション。日本酒メーカーの焼酎参入を見るとき、日本酒づくりの繊細さと焼酎づくりのおおらかさ、その相互作用から新しいものをなんとか生み出して欲しいと思うのである。それは、もし、ここで変われなければ、日本酒は保存対象の伝統酒になりかねないと予感するからでもある。
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2004年09月02日掲載