「酒の味」を知ろうとしない若者

若者の酒バナレが進んでいる。ビデオリサーチ社によると20代の飲酒率は、この10年間に男性で15ポイント、女性で11ポイント低下した。それまで飲酒率は基本的に上昇してきたはずだから、これはきわめて大きな変化であり、転換点というべきものだ。
実感としても若者の酒バナレに納得する方が多いだろう。飲みに誘っても若い部下がついてこないのは、上司と一緒が嫌だからだけでなく、単に酒を飲まないからということが珍しくない。飲食に金を使うならば携帯電話の支払いに回したいという声もよく耳にするし、この間は酔っぱらうと音をはずすから飲んだらカラオケは歌わないという子に会った。
また、飲んでも頑張らずに馴染める味の酒しか口にしようとしない。酒の味は、子供の頃からの味覚とは異なる線上にある。ビールもウイスキーも焼酎も、初めて飲んでおいしいと思える味ではない。底辺に飲めるようになりたいという気持ちがあって、背伸びして飲むうちに、酒をおいしいと感じる味覚は形成される。ところが今は、「酒っぽい味が嫌いだから、カクテルやチューハイしか飲まない」と堂々と言う。
けれども酒バナレの方が、成人式で繰り返される醜態のように、酔っ払って騒ぐために酒を呷るよりはましだろう。こじんまりしてしまうけれど、酒はわかる人が丁寧に飲んでくれれば、それでいいのだと思う。
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2004年09月16日掲載