日本の酒食のこれからを問う

10月1日の日本酒の日に、「日本酒に乾杯フォーラム&パーティ」が帝国ホテル(東京)で盛大に開催された。主催したのは日本酒で乾杯推進会議。発起人には、前国立民族学博物館館長の石毛直道さんや歌舞伎役者の市川団十郎さんなど、日本酒や日本文化に関心の高い文化人や著名人が名を連ねる。
「日本のかたち、日本のこころ」と題されたパネルディスカッションでは、近く池坊家元を襲名される池坊由紀さんや落語家の林家いっ平さんらがパネラーとして登壇。日本の伝統文化の振興に力を注いでいらっしゃるおお二方が、その意気込みや熱い想いを語り合った。
近年、日本酒の消費量は減少しており、すでに全酒類消費量の1割を切っている。50年前には酒といえば日本酒で、ビールよりも多く飲まれていたのだから、たいへんな落ち込みようである。
今回の催しも、てっきり日本酒業界がリードして、日本酒の振興を狙ったものと思いこんでいた。けれども、参加してみると提起された問題はもっと大きなものであった。「日本の伝統文化をどうするの?」と正面から問いかけてきたのである。国際化が急速に進むなかで、酒食、芸能、美術、音楽、詩歌、文学など、日本の伝統文化は、世界の潮流の中でどのように位置づけられるか、しっかり考えようよということであろう。継続して活発に議論されることを期待したい。
117-1737_IMG.jpg

2004年10月07日掲載