攻勢に転じたウイスキー

少し前にウイスキーが復活してきたという新聞報道があったためだろう、酒文化研究所にもウイスキーの消費動向についての問い合わせが相次いでいる。
ウイスキー復活と報じられたのは、サントリーの響(前年比101%)や山崎(〃109%)、ニッカの竹鶴(〃5%)、シングルモルトウイスキー(〃120%)など高級品の出荷量が好調であること、同時にレッドやブラックニッカなどの低価格品が堅調なことを根拠にしている。たしかに焼酎ブームや猛暑のあおりで、清酒やワインが苦戦する中、ウイスキーの堅調さは確かに目を引く。
ウイスキーはこの20年間、消費減退にもがき続けてきた。1984年に価格が2割も上がる増税があり、オールドなどの主力商品が値ごろ感を失い低迷が始まる。1989年には、欧米の圧力によって酒税の課税方法の抜本的な変更が行われ、低価格品の価格が2倍近くに跳ね上がり、高級品には3割以上も安くなるものが続出。低価格品は壊滅し、リザーブやローヤルなど高級品はブランドの再構築を余儀なくされた。1997年に再度酒税が引き下げられ低価格品が復活、制度変更はこれが最後と各社が腰を据えてブランド構築に取り組めるようになった。
そんななかで近年日本のウイスキーの国際的な評価が急上昇。今年は「響30年」がイギリスの酒類コンクールで、ついに最高賞を受賞した。ウイスキーが上昇に転じたのは確かなようだ。
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2004年10月14日掲載