酒粕のすごいパワー

本当に酒粕はすごいらしい。9月に開催された日本醸造学会で、酒粕に癌の予防やしわの発生を抑える物質があることが確認されたという報告があったのだ。酒粕には食物繊維が大変豊富であること、メラニン色素を脱色する美白効果が極めて高いことはすでに報じられている。今回はほかにもうれしい効果があることを確認できたわけだ。
酒粕はご存知のとおり日本酒をつくる時にできる副産物。蒸した米を発酵させて酒を搾り、あとに残った絞り粕が酒粕である。古くから野菜や魚の粕漬け、かす汁、甘酒などに使われ、日本独特の食文化を形成してきた。焼酎も昔は酒粕が主原料で、酒粕を水に溶いたり、籾殻を練りこんだりして酒蔵が蒸留していたのだ。そこにさまざまな健康効果が発見されたことは、日本酒好きにはなんとも気持ちいいニュースである。
ただ、日本酒はこのところ元気がない。昨年も消費量が5%も減って、それでもまだ底打ち感が無い。当然、酒粕の生産も減っている。醸造技術の革新で、酒粕が出ない製造方法が普及したことも手伝って、酒粕の需給が逼迫していると聞く。
今回の研究成果を受けて、酒粕の医薬品や化粧品への利用が検討されているという。将来、日本酒が酒粕の副産物になる可能性もないではない。絶対にそうなって欲しくは無いのだが・・・。
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2004年10月21日掲載