2005年イタリアワインの当たり年

 ワインの敵として考えられる常軌を逸した気候条件は今回優れたヴィンテージへ導いてくれる。二〇〇五年のイタリアのヴィンテージは、質と量的にバランスが取れた一九九七年を思わせるほど偉大なヴィンテージになりそうだ。CIA(イタリア農業者同盟)と生産者の見通しによると二〇〇五年はイタリアワインにとって特別にすばらしい年になる可能性が高いだという。
 イタリア農業者のある昔の格言によると、閏年に相次ぐ奇数年は最高のワインとオイルが取れる年になると言われる。CIAによると、ワイン生産量は、大きな気象的な変化がなければ、約五〇〇〇万ヘクトリットル弱で、収穫量は二〇〇四年と比べると一〇〜一五%減少する模様。最大のワイン生産量を誇るのはヴェネト州で、第二位はプーリア州、エミリア・ロマーニャ州、シチリア州のいずれか輝く見通しである。ラツィオ州と長年に五位を争ったアブルッツォ州は二〇〇五年に第五位につく見通しだ。アブルッツォ州に次いで二〇〇万〜三〇〇万ヘクトリットルでピエモンテ州、トスカーナ州 そしてラツィオ州が並ぶ。カンパニア州、フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州、 トレンティーノ・アルト・アディジェ州、ロンバルディア州の予想収穫量は一〇〇万から二〇〇万ヘクトリットルの間で、他州のブドウ収穫量は、ヴァルダオスタ州の二万ヘクトリットルからウンブリア州の九〇万ヘクトリットルまで、一〇〇万ヘクトリットル以下になりそうだ。
 ブドウの遅い成長に影響したのは、北では雨の少ない寒い冬にと、これに対して、南での多い雨に次いだ全国での低気温の長い春を特徴と持った異常な気象だといわれている。ブドウがまず成長を遅らせ、その後の温暖によって成長加速し、収穫は例年並だという。
 ブドウ収穫時期は早熟品種の収穫でイタリアの南部やシチリア島など島々で八月中旬から始まり、熟すのが遅いブドウが収穫される一〇月末までに続く予定。
 地域によってベト病菌などの心配もあったが、ブドウの生育は順調で、ブドウの状態は平均的に非常によいと評価されている。DOCG、DOCおよびIGTのような高質ワインの生産量が増加する見込み。これに対して、テーブルワインの生産量が減少すると予測されている。ワイン用ブドウの栽培面積は前年に比べてイタリア全国で減少する見込み。この現象が起きているのは特にシチリア州、ラツィオ州やサルデーニャ州などである。ワイン用ブドウの栽培面積が比較的に広い地域は、 シチリア州、プーリア州、ヴェネト州、トスカーナ州なのである。一ヘクタールにおける収穫量は、適度なアルコール度と酸度のバランスとともに、味や香りを保証する最大収穫量は、一ヘクタールに一二〇ヘクトリットルでエミリア・ロマーニャ州が今年もトップに立つ。これに対して一ヘクタールでブドウ収穫量が二四ヘクトリットルで一番低いのは、ボディの赤ワインが特徴のサルデーニャ州である。
 各地方のワイン生産者が二〇〇五年は過去数年の最高の品質が確保される年になることについて同意している。イタリア農業者同盟によると今年のブドウの品質は一〇年の例外的にブドウの出来が良かった二〇〇一年をしのぐビッグ・ヴィンテージになるとの予想が出ている。そして所々伝説的な一九九七年を思わせるワインも出てくると期待されている。今年のイタリアブドウの実りそして驚異なヴィンテージに期待したい。
(シェイラ・ラシッドギル:コラムニスト、ローマ在住)

月刊 酒文化2005年10月号掲載