2004年11月 「日本酒で乾杯」が好きは7割

 日本酒で乾杯することのほうが珍しい昨今ですが、七割近くの方が「好き」と投票しています。性別ではほとんど差が見られません。年齢別では四〇代に「好き」という回答が少ないのが目立ちます。
 四〇代は日本酒に嫌な思い出でもあるのだろうかと考えてみました。彼らが酒を飲み始めた二〇〜三〇年前は、ちょうど、日本酒の消費量がピークを迎える時期に当たります。「ほんものの酒」という言葉が脚光を浴びて、三倍増醸酒や級別制度が批判され始めた頃です。それで、「日本酒で悪酔いした」系の回答が多いのだろうと思っていましたが、「嫌いな理由」見てみると、まったくの見当違いでした。
「日本酒で乾杯」が嫌いな理由は「日本酒は落ち着いて飲みたいから」という声が多いのです。もちろん「日本酒そのものが嫌い」とか「日本酒を飲み干すのはしんどい」という声はあります。けれども、そうでない方の意見は「日本酒は好きだが、日本酒で乾杯はちょっと違うでしょう」というものなのです。四〇代に特有のことかと思い他の年齢層の意見を眺めてみると、どの年齢層にもほぼ同じような意見が見られます。
「日本酒で乾杯」を言う時には、日本酒で乾杯するのに適した酒器と、飲み干せるように設計された商品の二つを、同時に提案することが大事でしょう。少なくともそれがないと、掛け声ばかりで、「日本酒で乾杯」は広がらないように思えました。

【マスターの感想】
 日本酒の消費が低迷して酒類全体の消費量の一割に足らなくなり、昨年は焼酎に抜かれてしまいました。最近では、本格焼酎ブームと対照的なできごととしてクローズアップされることがよくあります。巷からは「日本酒って大丈夫なの」という声があがるのではないかと期待しておりましたら、そんな声はほとんど聞かれません。それで、世の中は「日本酒には関心ありません」と言っているのだ、「酒なんてどーでもいい」と思っているのだ、「日本の酒文化はこんなもんなのかあっ!!」と悪いほうへどんどん転げ落ちそうになっている方を、今回のアンケートはちょっぴり救ったのであります。
 この声を「まだまだ、やれるじゃないか」「この人たちの力を活かそう」と前向きに捉えましょう。けっして、「だったら、もっと日本酒飲めよ」などと思ってはいけません。
 低迷の責任は日本酒業界にあります。日本酒をおいしく、おもしろく飲むために、やるべきことをやってこなかったのですから。酒そのものは確実にレベルアップしてきました。これはそのまま続けるとして、今度は「おいしく」、そして「おもしろく」というところをやりましょう。あっ、それって酒文化そのものですね。いよいよ私たち「酒文化の会」の出番です。 (マスターT)

【「好き」な理由】
日本酒で乾杯すると、日本人らしさとか日本の文化の重みとか、風情を感じることができると思います。また、乾杯という日本語の音の響きには、日本酒がやっぱり一番似合うと思います(hana:女性・二〇代)
本当におめでたい気がする(よこすか・たま:女性・三〇代)
ビールよりも品がある。左手を添えて乾杯、女性らしさが出ていいじゃない?(かまぼこ:女性・四〇代)
「はい」と答えはしましたが、実際に乾杯する時ってビールかワインが圧倒的に多い気がします。乾杯は食事を始める前にされることがほとんどなので濃いお酒ではちょっと……。だから日本酒を乾杯に使うようになるにはもっと低アルコールで飲みやすい日本酒を乾杯用に薦めるべき、勿論その場合お猪口ではなくある程度の大きさの素敵で風流なぐい呑みで(しろがすき:女性・五〇代)
日本酒が好きな者同士で集まったときには、やはり日本酒で乾杯したい(日本酒大好き!:男性・二〇代)
日本酒で始まり日本酒で〆る。お箸の国の人だから日本のお酒が一番です(マイケル:男性・三〇代)
魚介類との相性の良さは他の酒の追随を許しません。また、穀物原料なのにフルーツの香りがする神秘性もたまりません(ひろ:男性・四〇代)
乾杯は酒宴の始まり、どんな酒宴になるかを司る重要な儀式。じっくり落ち着いた大人の酒宴には、やはり日本酒が似合う(ぽるころっそ:男性・五〇代)
最近はビールで乾杯が主流ですが、日本酒で乾杯し歓談しながら杯を重ねる。これが趣があっていいですね(ぱぱちょ:男性・六〇才以上)
【「嫌い」な理由】
乾杯して飲むようなイメージがない(ミカン缶星人:女性・二〇代)
共通の好みが見出しにくいので、スタートの乾杯は日本酒は避けたい。ただし、祝事はぜひ日本酒を使いたい(703:女性・三〇代)
乾杯はビールがいい。でも夫婦、恋人などと二人だけの乾杯は日本酒がいいな(ペコポコ:女性・四〇代)
確かに普段はビールですよね。日本酒は席があったまってきた頃にはじのほうで飲むのが好きです。先にやられてると「お、やってるな」って感じで近寄っていきます(kou_saka
maki:男性・二〇代)
日本酒はやはり落ち着いて静かに味わいたい。杯をかかげて目で祝福しあうくらいの乾杯が似合うのでは(独杯酔人:男性・四〇代)
乾杯の「乾」は乾いたノドを潤すという意味が含まれていると、私自身は解釈しています。したがって、最初の乾杯には冷えたビールが最適と思います。その後は日本酒をじっくりいただく(貞:男性・五〇代)
日本酒は好きだが、日本酒で乾杯という場がない。乾杯の器が思いつかない(エンチャン:男性・五〇代)
乾杯は立ってするものですが、日本酒は立って飲む物ではないと考えます。じっくり座って飲りたい(野球おじさん:男性・六〇才以上) ■

2004年12月実施