「酒粕」が好きは72%

 ちょっと驚きました。酒粕が好きな方がこんなにいるとは思っていませんでした。大雑把に言うと7割が好きで2割は嫌い、残った1割は「酒粕を知らない」もしくは「食べた経験がない」と言います。
 性別では、女性に「好き」がやや多いものの大差はありませんでした。はっきりと差が出たのは年齢別と飲酒頻度別です。
 年齢別では年齢が高くなるほど「好き」が多くなります。20代は52%と半分強にとどまりますが、30代65%、40代77%、50代以上では8割をゆうに超えます
 飲酒頻度別では、週に3日以上飲む人では「好き」が8割弱あります。けれども、1日〜2日では七割を切り、1回未満では55%にまで低下します。
 好きな理由には、「(酒粕を入れると)料理にコクがでる」「粕漬けにすると旨みが増す」「甘酒がおいしい」「粕汁がおいしい」「温まる」「肌にいい」「健康にいい」などがあげられました。そして、「子供の頃に母親(祖母)がつくってくれた甘酒(粕汁)が懐かしい」というメッセージをいくつも頂戴しました。こうした家庭で伝えられてきたというお話は、20代や30代の方から寄せられたものも少なくありません。全体には少なくなってきているものの、まだまだ根強いということでしょう。だからこそ、「酒粕が好き」という回答が7割を超えたのだと思います。
 反対に嫌いな理由は「臭いが嫌い」という声が圧倒的に多くなっています。そのほか「どろっとした(ぐにゃっとした)食感が嫌い」「独特の甘味を好きになれない」「粕汁の具が嫌い」などがあがりました。
【マスターTの感想】
 世界にいろいろな酒がありますが、酒を搾ったあとの粕がこれほど重宝されているのは珍しいことです。ワインの搾り滓はグラッパやマールなどの蒸留酒の原料になりますが、食用に加工されるという話は聞いたことがありません。ビールの粕は一部がエビオスのようなサプリメントに加工もされますが、多くは飼料として利用されます。焼酎の粕は海洋投棄での処理が問題になったように持て余しぎみ。泡盛は最近でこそ蒸留粕を搾って「もろみ酢」に加工しますが、もともとは豚の餌でした。
 こうしてみると酒の粕を料理に広く活用する清酒の文化は、独特のものでたいへん豊かなもののように思われます。
 原料に葡萄を丸ごと使うワインを、素材のもつポテンシャルを最大限に引き出す酒と評することがあります。そのような見方からは、精米により米の一部だけを取り出して仕込む現代の清酒は、「素材のポテンシャルを最大限に生かす」という性格を失ったとも言えます。それは清酒が、香味範囲を狭くしてしまい、均質なものばかりになってしまったことに対する刺激的な批判です。
 しかしながら糠も粕も、それぞれ食品としての利用方法が確立されているという視野、つまり米の加工文化全体のなかでは、「素材のポテンシャル」は十分に引き出されていると捉えられるのではないでしょうか。酒粕をテーマにご意見をいただき、そんなことを考えた次第です。
(マスターT)
【「好き」な理由】
普通のみそ汁より、コク・甘味が増す。そして体もポカポカして夜もぐっすり眠れます(梅ちゃんLOVE:女性・20代)
なにしろ美容にいいというのが一番の理由です。ちょっと古くなってしまったのは酒粕パックに使っている(エリ:女性・30代)
酒粕の真っ白い吟醸粕がおすすめ。蔵元で食べた粕汁が最高においしかったので、それからやみつきです(久間生潤子:女性・40代)
魚・肉を酒粕に漬け込むと甘みが増しておいしくなります。冬は粕汁をよくつくります、野菜をたくさん食べることができる優良献立です(キンちゃん:女性・50代)
子供の頃に母親がつくってくれた粕汁が好きだったので、いつのまにか大好きになっていました(ていすと777:男性・30代)
好きな理由は「酒粕は旨い」に尽きます。甘酒が好きなのは「身体が温まる」「気持ちが落ち着く」からです。板酒粕を電子レンジで柔らかくすれば、短時間でつくることができます(赤須治郎:男性・50代)
粕汁がうまい。甘酒にしてもうまい。夏は甘酒に牛乳を入れて冷たくするとうまい。酒粕は肌に良い(しみがとれる)。日本酒売上減により、量が不足気味、価格上昇(長部慈朗:男性・60代以上)
【「嫌い」な理由】
酒粕を使った料理などが好きではないので。どろどろした感じが嫌いです(きよちゃん:女性・20代)
味も好みではないし、酔っ払ってしまうから(しろと:女性・40代)
甘酒とワサビの粕漬けがどうしても好きになれないから。奈良漬や魚の粕漬けを焼いたものなどは好きだから、要は使いようなんだと思います(シンザン:男性・20代)
昔、父が粕汁をつくってくれました。でも、当時は魚が嫌いで小骨を取りながら食べるのが面倒で、粕汁自体の印象も悪い物になってしまっています。食感がイヤでした。今年、初詣の際に甘酒を飲んだのですが、とてもおいしく飲めました。食べ方次第で変わるのではないかと思います(日本酒は一年目:男性・30代)
日本酒は好きなのですが、酒粕を入れた汁物はまったくだめです。特に匂いが受け付けません(とど:男性・40代)
昔、母が甘酒をつくってくれたがどうしても好きになれなかった。それと酒粕を長い間おいておくと家中に何ともいえない匂いが漂ってきてその時の印象からも好きになれない(109さん:男性・60代以上)

2005年04月実施