「果実酒づくり」が好きは52%

 果実酒づくりが「好き」という方が52%と半数を超えました。「経験なし」が41%ですから、果実酒をつくったことのある方の8割は「好き」ということになります。
 性別では、好き嫌いの比率、果実酒をつくったことがない方の割合、ともに差が見られません。
 年齢別では、年齢が高くなるほど「好き」の割合が高くなります。20代と30代では「好き」は40%台ですが、40代で58%、50代以上では70%を超えます。また、「つくったことがない」という方の割合は、20代が52%あるのに対して50代はわずか16%と、3分の1に減少します。50代以上の方には、果実酒をつくることが当たり前の暮らしがあったのだと思います。
 意外だったのは、飲酒頻度と果実酒づくりの好き嫌いが強く関係していたことです。週に5日以上飲む方の6割が「好き」と回答しているのに対して、週に1回未満の方は3割しかありません。そして「果実酒をつくったことがない」と言う方が57%にのぼります。ふだんお酒を飲まない人は、果実酒をつくってみようなんて思わない、ということなのでしょう。
 「好き」な理由としては「素材が何がわかっているので安心」「親子でつくって楽しい」「大量に手に入る果実を漬ける」「おいしくできる」「(飲めるようになるのを)待っているのも楽しい」などがあげられました。一方、「嫌い」な理由は「面倒」「おいしくできない・難しい」「待てない」「市販のもののほうが割安」などです。
 また、「つくったことがない」という方からは「つくり方がわからない」「道具がない」「きっかけがない」「難しそう」などの意見が寄せられました。
 なお、今回の質問では若干用語の混同があったことをご報告しておきます。「果実酒づくり」として「果実やハーブなどを焼酎などの蒸留酒に漬け込むリキュールづくり」を想定いたしましたが、「ワインづくり(果実を発酵させて酒をつくる)」あるいは「フルーツを使ったカクテルづくり」と勘違いされた方が少数ですがいらっしゃいました。ご紹介したデータは、これらをすべて含んだものです。
【マスターTの感想】
 果物は一時に大量にとれますが、ほとんどが穀物のように保存がききません。それで、保存食としてジュースにしたり、ジャムをつくったり、乾燥させたりしました。リンゴからつくるワインやシードルは、ジュースをさらに加工したものと考えることができます。今回の梅酒に代表される果実酒づくりも、まったく同じ構図がそこにあるようです。大量の果実を保存したり、エキスを抽出したり、さらに飲みにくい酒をおいしくしたりするために、人々は果物を酒に漬け込んで、新しい酒を手にすることを考えたのでしょう。
 果実酒づくりを、世代を超えて伝承するものとして話す方が予想以上に多いことも、新鮮でした。母から娘へ、さらに孫へと伝えられる我が家の味という位置づけは、世代を超えたよいコミュニケーションツールになっていました。
 実際に果物を漬けてみると、手間暇がかかって面倒に感じる人も多いことでしょう。だから市販されているものを買ったほうが安いと考えるのも無理はありません。ただ、おいしくできた時、周りから誉められたり感謝されたりした時の喜びは格別です。ここが、ホビーとしての果実酒づくりのスタート地点であります。みなさんもぜひチャレンジを。
 なお、日本では果実酒づくりが許可されたのが比較的新しいことを申し添えておきます。酒税法で梅酒づくりが許可されたのは、昭和37年のことでまだ43年しかたっていません。翌年にみかん・いちごなど一二品目が解禁され、昭和46年にようやく葡萄と穀類を除いて全面解禁されました。禁止されていた果実酒づくりでしたが、おばあちゃんは誰からどのようにつくり方を聞いたのでしょうね。 (マスターT)
【「好き」な理由】
祖母が育てた青梅を貰って、梅酒製作……祖母の汗水流した梅からつくる自家製梅酒はやはり格別です(ひろみさ:女性・20代)
添加物など入ってないから安心(まー:女性・20代)
梅の実がたくさん取れたときは漬ける。一度漬け込むだけで後は待ちなので、気長にできるのを待っている(レタスONE:男性・30代)
梅の季節になると習慣になってます。自分で漬けた物を飲むという、楽しみのためです(久間生潤子:女性・40代)
毎年つくっていますが、亡くなった姑にはいまだ負けています。いつか姑を超えなければ……(おかぴょん:女性・60代)
楽しいからです。梅酒ができるまでには少なくとも半年かかり、その間はなにもすることがありませんが、待っているだけでお酒ができるのですから、楽なものです。これまでは親父がつくっていましたが亡くなったものですから、梅を引き上げたり、貯蔵していた10年物をチビチビ飲んだりしているうちに、自分でつくってみようと思いました。つくったのは昨年からです。今年も黒糖を使うなど、何種類か計画中です。青梅は能登の友人がまもなく送ってきます(赤須治郎:男性・50代)
【「嫌い」な理由】
いつもなかなかいい風味がでないので、おいしくできませんでした(ちえぷう:女性・20代)
梅酒、苺酒などつくったけれど買ったほうが割安だった(えりまま:女性・50代)
梅酒、三年も経てばとてもおいしくなるのがわかっていながら、待てないで飲んでしまう代物(茄子茗荷:男性・50代) ■

2005年07月実施