「焼酎のお湯割り」が好きは六三%

 昨年は、芋焼酎の品切れ騒動にまで至った焼酎ブームも、この夏からは一段落という感じになりました。けれども、このブームのおかげで、鹿児島や宮崎のローカルな酒で、本州では一部の酒好きにだけ飲まれていた芋焼酎が、全国どこの居酒屋のメニューでも見かけられるようになりました。
 それでも、もともと飲まれていた地元と、新しく飲まれるようになった首都圏などの市場では、焼酎、芋焼酎の飲み方はずいぶんと違います。南九州では圧倒的にお湯割りで飲む人が多いのですが、首都圏では、ロック、水割りといった飲まれ方が料飲店での一般的な飲み方となっています。
 そもそも南九州でお湯割りが定着した背景には、日本酒の燗酒のポジションに焼酎があったからだと言われています。日本酒の飲み方が、燗酒一辺倒から冷やして飲むという飲み方に変わってきたのと同様に、新しい酒として焼酎を受け容れるようになった地域では、最初から冷たくして飲むということが当たり前の流儀なのかもしれません。
 しかし、回答内容は、全体では六三%が「好き」と答えています。性別では男性は六八%が「好き」と高くないですが、女性では一三ポイント低くなります。年齢別では年齢が高いほど「好き」が多く、二〇〜三〇代では「好き」の比率が六割弱にとどまっています。飲酒頻度別では「ほとんど毎日」というヘビードリンカーにもっとも「好き」が多く七割を超えていますが、「週に三〜四日」「週に一〜二日」では六割弱、「週一日未満」では四割台にまで下がります。
 この結果から考えると焼酎のお湯割りを好む層は、女性よりも男性、飲酒頻度が高く年齢も高い(飲酒経験年数も高い)という姿が浮かび上がります。
 好きな理由は「口当たりやのど越しが柔らかくなる」「香りがたつ」「酔い覚めがすっきりする」など実際に飲んでみての感覚が中心になっていました。また五:五、四:六など好みの割り方をあげる方もいました。
 一方で、嫌いな理由は「匂いがきつくなる」「むせる」などの意見もありましたが、「割ると味がわかりにくくなる」「うまいものはストレートで」など、酒自体の味を楽しみたいという意見もありました。
【マスターTの感想】
 本格焼酎には、香りを楽しむ酒という特徴があります。そして食中酒として食べたり飲んだりすることが多いと考えれば、お湯等で割って飲むというのは、自然に生まれた好ましい飲み方と言えるでしょう。
 ですから、お湯割りを嫌うと答えた方の代表的な意見に「ストレートでないと味がわからなくなる」「お湯割りにすると香りが強くなりすぎる」という理由があったのは少し意外でした。お湯割りは薄くしすぎない限り、本来の味や香りをそれほど損ないません。また、ストレートを好むという方は、食中酒としてではなく焼酎を単独、食後酒として飲んでいると思われます。
 後者の、香りが強くなりすぎるという意見からは、なぜ嫌いな香りの焼酎をあえて飲んでいるのかが不思議でした。
 同じように焼酎を飲んでいても「好き」派は香りが強くなることを歓迎し、「嫌い」派は、香りが強くなることを嫌う。しかしその両方ともが焼酎を飲んでいるというあたりにブームで広がった焼酎ユーザーの裾野の広さを感じました。 (マスター T)
【「好き」な理由】
香りがたっておいしさ倍増します。割ることによってまろやかになる気がします(なおすけ:女性・二〇代)
香りがよくなり、味もわかりやすくなり、ちょっとずつ飲めるからです(HID:男性・二〇代)
ツンとくる匂いがたまらない! あまり酔いたくないとき、飲兵衛を気取りたいとき、どんなときでも「やさしい」のがお湯割りです。水割りやロックよりも翌日に残りにくい気がします。一気に飲めないからかな(ヤマザキ:女性・二〇代)
温めて飲むほうが胃にも優しいし味が柔らかくなるので好きです。じっくり味わって飲めるのも良いですね(すおみ:女性・三〇代)
芋焼酎のお湯割りは芋の甘さ・香りが引き立ちいい気分に。アロマ効果もあり、からだも温まり疲れたからだが癒されます(NAO:男性・三〇代)
口に近づけたときに、ほんのりほのかに香る芋の香を楽しまずして、何を楽しむのか私にはわかりません!(みゆママ:女性・四〇代)
味のまろやかさ、香りのふくよかさが広がり、ゆったりとお酒をいただく時にふさわしい飲み方だと思います(ひろさん:男性・四〇代)
飲むときにふっと焼酎の原料の匂いがくるのがたまりませんね(KENJI・男性・五〇代)
それぞれ素材の香りがお湯で割れば一層香る。その香りが好き、やはり六:四で割ったのが一番おいしいです(tanishi:六〇才以上・男性)
【「嫌い」な理由】
お湯で割ると焼酎の匂いやクセが強く感じ、口元に運んだときの鼻にくる感じが苦手です(みーにゃん:女性・二〇代)
全般にお酒は「冷やして」飲むのが好きだから(ちゃだ:男性・三〇代)
お湯で割ったほうが焼酎本来の味・香りがわかりいいとは言われていますが、香りがたちすぎ飲みづらいです。飲みやすくするため水割りまたはロックで飲んでいます(うーたん:男性・三〇代)
ロックで飲むに限ります。せっかくの味を割ってしまうなんてもったいない(いく:女性・三〇代)
匂いがきついので苦手です。ストレートで楽しんでいます(ヒロクン:男性・四〇代)
旨いものはやはりストレートで、旨い水と共に飲むのが最高です(坂田利夫:男性・五〇代) ■

2005年09月実施